特養の介護ソフト|施設サービス計画・LIFE関連加算・生産性向上推進体制加算から選ぶ【2026年】

要点
特養(特別養護老人ホーム)の介護ソフトは、運営基準で作成・保存が求められる施設サービス計画とサービス提供の記録を扱えるかに加えて、LIFE関連加算のデータ提出(科学的介護推進体制加算・自立支援促進加算・排せつ支援加算・褥瘡マネジメント加算はいずれも少なくとも3月に1回)と、生産性向上推進体制加算の要件になる記録ソフト・見守り機器・インカムの連携まで同じソフトで回せるかで比べます。記録は完結の日から2年間の保存が基準省令で定められており、書面に代えて電磁的記録で作成・保存できます。2026年10月23日時点で当サイトに掲載している介護ソフト85本のうち、施設系を対象にしているのは41本で、料金を公式サイトに載せているのは9本、無料で試せると案内しているのは19本です。
特養で作る記録(運営基準)
特養の運営基準(「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」)は、次の記録を整備し、その完結の日から2年間保存するよう定めています(第37条第2項)。自治体が条例で長い保存期間を定めている例は、介護記録の保存期間の記事で扱っています。
| 記録 | 根拠(基準省令) | ソフトで確かめること |
|---|---|---|
| 施設サービス計画 | 第12条 | アセスメント・原案・サービス担当者会議・同意・交付・モニタリングまで、1人の入所者の流れとして管理できるか |
| 提供した具体的なサービスの内容等の記録 | 第8条第2項 | 食事・入浴・排せつなどの日々の記録を、居室や現場で入力できるか |
| 身体的拘束等の態様・時間・理由の記録 | 第11条第5項 | 様式があるか。身体拘束適正化委員会の記事で扱う記録と同じもの |
| 市町村への通知・苦情・事故の記録 | 第20条・第33条第2項・第35条第3項 | 入所者ごとに残せるか。事故の記録は事故報告書の記事も参照 |
基準省令は、書面で行うとされている作成・保存を電磁的記録で行うこと、交付・説明・同意を相手の承諾を得て電磁的方法で行うことを認めています(第50条)。紙の計画書をやめて同意や交付までソフトで済ませたいなら、電子署名や書類の電子交付に対応しているかを提供元に確かめます。電子化で守るガイドラインは介護記録の電子化の記事にまとめています。
施設サービス計画:作成からモニタリングまでの流れ
施設サービス計画は、施設の管理者が介護支援専門員(計画担当介護支援専門員)に作成を担当させます(第12条第1項)。居宅のケアプランと違い、計画を作る人と日々の介護を記録する人が同じ施設にいるため、計画と記録を1つのソフトでつなげられるかが選ぶ軸になります。
- アセスメント入所者と家族に面接して、解決すべき課題を把握する(第4項)
- 原案を作る意向・援助の方針・目標と達成時期・サービスの内容・留意事項を書く(第5項)
- サービス担当者会議担当者から専門的な意見を求める。テレビ電話装置等も使える(第6項)
- 説明と同意・交付入所者または家族に説明し、文書で同意を得て、入所者に交付する(第7項・第8項)
- モニタリング定期的に入所者に面接し、結果を定期的に記録する(第10項)
要介護更新認定や要介護状態区分の変更の認定を受けたときは、計画の変更の必要性について担当者の意見を求めます(第11項)。認定の有効期間や区分の変更を入所者ごとに管理し、見直しの時期を知らせてくれるかも確かめておきます。
LIFE関連加算:データ提出を記録から作れるか
特養で算定するLIFE関連加算は、令和6年度の介護報酬改定でデータ提出の頻度が「少なくとも3月に1回」にそろえられました(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)。加算ごとに評価の頻度と、ソフトに関わる要件を抜き出します。
| 加算 | 令和6年度改定での主な変更 | ソフトに関わる要件 |
|---|---|---|
| 科学的介護推進体制加算 | LIFEへのデータ提出を少なくとも「6月に1回」から「3月に1回」に | 入力項目の定義が明確化され、他の加算と共通する項目の選択肢が統一された |
| 自立支援促進加算 | 280単位/月(改定前300単位/月)。医師の医学的評価を少なくとも「6月に1回」から「3月に1回」に | 支援計画の見直し・データ提出と医学的評価の頻度がそろう |
| 排せつ支援加算(Ⅰ) | 医師または医師と連携した看護師の評価を少なくとも「3月に1回」に。尿道カテーテルの抜去も(Ⅱ)のアウトカム評価の対象に | 入所時等と3月に1回の評価結果を提出し、支援計画を3月に1回見直す |
| 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ) | 入所時に既にあった褥瘡が治癒したことも(Ⅱ)のアウトカム評価の対象に | 入所時と3月に1回のリスク評価、多職種で作る褥瘡ケア計画、管理の内容と状態の定期的な記録、3月に1回の計画の見直し |
同じ入所者に複数の加算を算定する場合、一定の条件のもとでデータ提出のタイミングをそろえられるようになりました。ソフトでは、次の点を確かめます。
- LIFEに提出するデータを日々の記録と計画から作れるか(CSVの出力や提出の手順)
- 入所者ごとに、加算ごとの評価日と次の提出期限を管理できるか
- 褥瘡ケア計画や排せつの支援計画の様式があり、3月ごとの見直しの記録を残せるか
- 3月に1回LIFEへのデータ提出の頻度少なくとも。改定前は加算により6月に1回
- 280単位/月自立支援促進加算改定前300単位/月。介護老人保健施設は300単位/月
- 3月に1回褥瘡・排せつの評価と計画の見直し入所時等の評価に加えて
LIFEの仕組みと運営主体の移管はLIFEの記事にまとめています。
生産性向上推進体制加算:記録ソフト・見守り機器・インカムの連携
令和6年度に新設された生産性向上推進体制加算は、(Ⅰ)が100単位/月、(Ⅱ)が10単位/月です。(Ⅱ)は見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入し、委員会の開催と生産性向上ガイドラインに基づく改善活動を続け、1年以内ごとに1回、業務改善の効果を示すデータを提出します。(Ⅰ)は次の3種類をすべて使い、職員間の適切な役割分担(介護助手の活用等)の取組を行い、(Ⅱ)のデータで業務改善の成果が確認されていることが要件です。
| 種類 | 内容 | (Ⅰ)での使い方 |
|---|---|---|
| ア 見守り機器 | — | すべての居室に設置する |
| イ インカム等 | 職員間の連絡調整を速くするICT機器 | すべての介護職員が使う |
| ウ 介護記録ソフトウェアやスマートフォン等 | 介護記録の作成を効率化するICT機器。複数の機器の連携も含め、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限る | — |
つまり(Ⅰ)を目指すなら、介護ソフトが見守り機器とインカムのデータを取り込めるか、記録の入力から保存・活用までを一体で支えるかを確かめることになります。要件の詳細は生産性向上推進体制加算の記事、委員会の作り方は生産性向上委員会の記事で扱っています。なお、この委員会の定期的な開催は、運営基準でも特養の義務になっています(第35条の3)。
施設系の生産性向上ガイドライン(厚生労働省、令和2年度版)は、介護記録・情報共有・請求事務が一気通貫となったソフトの導入が最も効率的だとし、入力の定型化やチェックボックス式、音声入力で入力の手間を省けるとしています。見守り機器は見守り機器のカテゴリと見守りセンサーの選び方の記事、夜間の人員配置との関係は夜勤の人員配置と見守り機器の記事にまとめています。
請求:施設サービスの請求データを作れるか
特養は施設サービスなので、居宅介護支援事業所から毎月サービス提供票の予定が届き実績を返す、という業務がありません。そのぶん、入所者ごとの施設介護サービス費と加算、食費・居住費、特定入所者介護サービス費(補足給付)を含む請求データを作り、国保連へ伝送できるかが請求まわりの確認点です。国保連への伝送の仕組みや電子証明書は介護ソフトの選び方の記事で説明しています。
施設系を対象にしている介護ソフトの数と比べ方
2026年10月23日時点で当サイトに掲載している介護ソフトのうち、施設系を対象にしている41本の内訳です。
| 項目 | 本数 |
|---|---|
| 施設系を対象にしている | 41本 |
| 料金を公式サイトに載せている | 9本 |
| 無料で試せる(トライアル・デモ)と案内している | 19本 |
| 対応環境を公式情報から確認できた | 33本 |
| うちブラウザで使うクラウド型 | 23本 |
| うちスマートフォン・タブレット(iOS・Android)で使える | 15本 |
施設系だけを対象にしている製品はなく、41本はいずれも居宅介護支援(37本)・通所系(34本)・訪問系(34本)など他のサービスもあわせて扱う製品です。同じ法人で通所やショートステイを運営しているなら、併設するサービスもすべて対象になっているかと、サービスごとの料金を確かめます。料金の形は介護ソフトの料金の記事、無料での試し方は無料で試せる介護ソフトの記事にまとめました。介護医療院の人員基準や老健との違いは介護医療院の記事で説明しています。
施設系の介護ソフトの一覧は施設系の介護ソフトの比較ページに、施設系の事業所向けのツール全体は施設系のページにまとめています。介護ソフト・タブレット端末・インカムの導入費用は、都道府県の介護テクノロジー導入支援事業の補助の対象になることがあり、令和7年度当初予算の事業では、入所・泊まり・居住系の事業所は利用者の安全と介護サービスの質の確保、職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会を設置することが補助の要件です(介護テクノロジーの補助金の記事)。
よくある質問
特養の施設サービス計画は誰が作りますか?
基準省令(第12条第1項)は、施設の管理者が介護支援専門員に施設サービス計画の作成に関する業務を担当させると定めています。この介護支援専門員が、入所者と家族への面接によるアセスメント、原案の作成、サービス担当者会議、説明と文書による同意、交付、モニタリングまでを行います。
特養の記録は何年保存すればよいですか?
基準省令(第37条第2項)は、施設サービス計画、サービス提供の記録、身体的拘束等の記録、市町村への通知・苦情・事故の記録を、その完結の日から2年間保存するよう定めています。
LIFEへのデータ提出はどのくらいの頻度で必要ですか?
令和6年度の介護報酬改定で、科学的介護推進体制加算などLIFE関連加算のデータ提出は少なくとも3月に1回にそろえられました。同じ入所者に複数の加算を算定する場合は、一定の条件のもとで提出のタイミングをそろえられます。
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)には何が必要ですか?
見守り機器をすべての居室に設置し、インカム等をすべての介護職員が使い、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援する介護記録ソフトウェア等を導入したうえで、(Ⅱ)のデータで業務改善の成果が確認されていることが要件です。単位数は(Ⅰ)100単位/月、(Ⅱ)10単位/月です。
出典
- e-Gov法令検索「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第39号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100039 - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf - 厚生労働省「介護サービス事業(施設サービス分)における生産性向上に資するガイドライン(令和2年度版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/Seisansei_shisetsu_Guide.pdf - 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(令和7年度当初予算)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001476528.pdf
制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年10月23日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。












