特定事業所加算とは|居宅介護支援(月519〜114単位)と訪問介護(20〜3%)の区分・算定要件・令和9年度改定の論点【2026年】

要点
特定事業所加算とは、手厚い人員配置、計画的な研修、重度者や支援が困難な事例への対応など、質の高いサービス提供体制を整えた事業所を評価する加算です。居宅介護支援では、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第84号の要件を満たして市町村長に届け出た事業所が、(Ⅰ)519単位・(Ⅱ)421単位・(Ⅲ)323単位・(A)114単位を1月につき加算します。訪問介護では、同じ告示の第3号の要件を満たして都道府県知事に届け出た事業所が、所定単位数の(Ⅰ)20%・(Ⅱ)10%・(Ⅲ)10%・(Ⅳ)3%・(Ⅴ)3%を1回ごとに加算します(2026年11月4日時点で施行されている令和6年度改定後の告示による)。名前は同じでも、根拠の告示も要件も届出先も違う別の加算です。令和7年11月審査分の算定率(事業所ベース)は居宅介護支援の(Ⅱ)が23.84%、(Ⅰ)が1.71%、訪問介護は令和7年10月サービス提供分で(Ⅱ)が33.9%、(Ⅰ)が10.6%です。令和9年度改定に向けては、居宅介護支援の(Ⅰ)の「要介護3〜5が40%以上」の要件を廃止し、(A)を1年の経過措置を置いて廃止する案が、令和8年10月19日の社会保障審議会介護給付費分科会(第271回)で示されています。検討中で、決まった内容ではありません。
- 519単位居宅介護支援(Ⅰ)の月額(Ⅱ)421・(Ⅲ)323・(A)114単位
- 20%訪問介護(Ⅰ)の加算率(Ⅱ)(Ⅲ)10%・(Ⅳ)(Ⅴ)3%
- 45名未満居宅介護支援のケアマネ1人あたり利用者居宅介護支援費(Ⅱ)は50名未満
- 30%以上訪問介護員等に占める介護福祉士または介護福祉士等が50%以上
- 23.84%居宅介護支援(Ⅱ)の算定率事業所ベース・令和7年11月審査分
- 33.9%訪問介護(Ⅱ)の算定率事業所ベース・令和7年10月提供分
特定事業所加算とは:居宅介護支援と訪問介護で別の加算
特定事業所加算は、居宅介護支援(ケアマネジャーの事業所)と訪問介護にそれぞれ設けられた、質の高いサービス提供体制を評価する加算です。単位数は居宅介護支援が「指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第20号)、訪問介護が「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第19号)に書かれ、要件はどちらも「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)に書かれています。居宅介護支援の要件は第84号、訪問介護の要件は第3号です。第271回分科会の資料6は、居宅介護支援の特定事業所加算を「中重度者や支援困難ケースへの積極的な対応を行うほか、専門性の高い人材を確保し、質の高いケアマネジメントを実施している事業所を評価するため、平成18年度介護報酬改定で創設」したと説明しています。
居宅介護支援
月519〜114単位
- 単位数の根拠は告示第20号、要件は大臣基準第84号
- 区分は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(A)の4つ
- 主な要件は主任介護支援専門員と常勤専従のケアマネジャーの人数、24時間連絡体制、研修、他法人との事例検討会
- 届出先は市町村長
訪問介護
所定単位数の20〜3%
- 単位数の根拠は告示第19号、要件は大臣基準第3号
- 区分は(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5つ
- 主な要件は研修計画・会議・文書での伝達と報告、介護福祉士の割合、重度者や看取り期の利用者への対応、中山間地域等での継続提供
- 届出先は都道府県知事
障害福祉サービスの居宅介護・重度訪問介護にも同じ名前の特定事業所加算がありますが、別の制度です。障害福祉の加算は障害福祉の居宅介護の請求の記事で扱っています。
居宅介護支援の特定事業所加算:単位数と区分
居宅介護支援の特定事業所加算は、1月につき(Ⅰ)519単位・(Ⅱ)421単位・(Ⅲ)323単位・(A)114単位で、どれか1つだけを算定します(告示第20号 ハ)。令和6年度改定で各区分が14単位ずつ上がりました。区分の違いは、常勤専従の主任介護支援専門員と介護支援専門員を何人置くかと、要介護3〜5の利用者の割合です。
| 区分 | 単位数(月) | 改定前 | 常勤専従の主任介護支援専門員 | 常勤専従の介護支援専門員 | 要介護3〜5が40%以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 519単位 | 505単位 | 2名以上 | 3名以上 | 必要 |
| (Ⅱ) | 421単位 | 407単位 | 1名以上 | 3名以上 | 不要 |
| (Ⅲ) | 323単位 | 309単位 | 1名以上 | 2名以上 | 不要 |
| (A) | 114単位 | 100単位 | 1名以上 | 常勤1名以上+常勤換算で1以上 | 不要 |
留意事項通知(老企第36号)は、合計の人数をはっきり書いています。(Ⅰ)は主任介護支援専門員2名と介護支援専門員3名の合計5名、(Ⅱ)は合計4名、(Ⅲ)は合計3名を常勤かつ専従で置きます。(A)は主任介護支援専門員と介護支援専門員1名の合計2名を常勤かつ専従で置き、さらに常勤換算で1の介護支援専門員を置いて合計3名です。常勤換算の1名は、他の居宅介護支援事業所(連携先がある場合はその事業所に限る)の職務と兼務できます。
主任介護支援専門員と介護支援専門員は「専ら指定居宅介護支援の提供に当たる」ことが要件ですが、利用者への提供に支障がなければ、同じ事業所の他の職務や、同一敷地内の他の事業所(介護支援専門員は同一敷地内の指定介護予防支援事業所)の職務と兼務できます。令和6年度改定の留意事項通知は、「他の職務」の例として、地域包括支援センターの委託を受けて介護予防支援や総合相談支援事業を行う場合を挙げています。主任介護支援専門員の資格と管理者要件は居宅介護支援事業所の記事にまとめています。
居宅介護支援の算定要件:13項目を区分ごとに見る
大臣基準第84号は、(Ⅰ)の要件として13項目を挙げ、(Ⅱ)(Ⅲ)(A)はそのうち一部を外した形で定めています。(A)は、24時間連絡体制・研修・実習への協力・他法人との事例検討会の4項目を、他の居宅介護支援事業所との連携で満たしてもよいとされています。
| 要件(大臣基準第84号イ) | (Ⅰ) | (Ⅱ) | (Ⅲ) | (A) |
|---|---|---|---|---|
| (1) 常勤専従の主任介護支援専門員 | 2名以上 | 1名以上 | 1名以上 | 1名以上 |
| (2) 常勤専従の介護支援専門員 | 3名以上 | 3名以上 | 2名以上 | 1名以上+常勤換算1以上 |
| (3) 利用者の情報や留意事項の伝達等を目的とした会議を定期的に開く | ○ | ○ | ○ | ○ |
| (4) 24時間連絡体制を確保し、必要に応じて利用者等の相談に対応する体制がある | ○ | ○ | ○ | ○(連携でも可) |
| (5) 算定月の利用者のうち要介護3〜5が40%以上 | ○ | − | − | − |
| (6) 介護支援専門員に計画的に研修を実施する | ○ | ○ | ○ | ○(連携でも可) |
| (7) 地域包括支援センターから紹介された支援困難事例にも居宅介護支援を提供する | ○ | ○ | ○ | ○ |
| (8) ヤングケアラー・障害者・生活困窮者・難病患者等、高齢者以外の対象者への支援に関する事例検討会・研修等に参加する | ○ | ○ | ○ | ○ |
| (9) 特定事業所集中減算を受けていない | ○ | ○ | ○ | ○ |
| (10) 介護支援専門員1人あたりの利用者が45名未満(居宅介護支援費(Ⅱ)の場合は50名未満) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| (11) 介護支援専門員実務研修の実習等に協力する | ○ | ○ | ○ | ○(連携でも可) |
| (12) 他の法人が運営する居宅介護支援事業者と共同で事例検討会・研修会等を実施する | ○ | ○ | ○ | ○(連携でも可) |
| (13) 必要に応じて、インフォーマルサービスを含む多様な主体のサービスが包括的に提供されるケアプランを作成する | ○ | ○ | ○ | ○ |
令和6年度改定で変わった点は、上で触れた兼務の明確化のほかに3つです。(8)のヤングケアラー等に関する事例検討会・研修等への参加が新しく要件に入り、運営基準減算を受けていないことという要件は削除され(現行の(9)は特定事業所集中減算のみ)、(10)の利用者数は40名未満から45名未満(居宅介護支援費(Ⅱ)は45名未満から50名未満)に変わりました。(10)の利用者数は、原則として事業所単位で平均して数えます(留意事項通知)。
(8)の事例検討会・研修等は、自ら主催して実施した場合や、(12)の他法人との共同の事例検討会・研修会として実施した場合も含まれます(令和6年度改定Q&A Vol.1 問116)。参加していることを確認できればよく、ヤングケアラー等を実際に支援した実績は要りません(同 問117)。留意事項通知は、対象となる研修の例として、仕事と介護の両立支援制度や生活保護制度も挙げ、ケアマネジメントに必要な知識・技術を修得するためのものであれば差し支えないとしています。
訪問介護の特定事業所加算:加算率と区分
訪問介護の特定事業所加算は、1回につき所定単位数の(Ⅰ)20%・(Ⅱ)10%・(Ⅲ)10%・(Ⅳ)3%・(Ⅴ)3%を加算します(告示第19号 訪問介護費 注10)。令和6年度改定で、5%だった旧(Ⅳ)が廃止され、3%の旧(Ⅴ)が(Ⅳ)になり、中山間地域等での継続的なサービス提供を評価する(Ⅴ)3%が新設されました。要件は体制要件・人材要件・重度要介護者等対応要件の3つの組み合わせで決まります。
| 区分 | 加算率 | 体制要件(研修計画・会議・文書伝達と報告・健康診断・緊急時対応の明示) | 人材要件 | 重度要介護者等対応要件 | 中山間地域等 |
|---|---|---|---|---|---|
| (Ⅰ) | 20% | 必要 | 介護福祉士の割合と、サービス提供責任者の経験の両方 | 必要 | − |
| (Ⅱ) | 10% | 必要 | 介護福祉士の割合か、サービス提供責任者の経験のどちらか | − | − |
| (Ⅲ) | 10% | 必要 | 基準を上回る常勤のサービス提供責任者か、勤続7年以上が30%以上のどちらか | 必要 | − |
| (Ⅳ) | 3% | 必要 | 基準を上回る常勤のサービス提供責任者か、勤続7年以上が30%以上のどちらか | − | − |
| (Ⅴ) | 3% | 必要 | − | − | 継続的な提供と計画の見直し |
(Ⅰ)〜(Ⅳ)はどれか1つだけを算定し、(Ⅴ)はそのどれかと同時に算定できます。ただし、注13〜15の中山間地域等の加算(特別地域訪問介護加算など)を算定している場合は(Ⅴ)を算定できません(告示第19号 注10)。加算は所定単位数に割合を掛けるたびに四捨五入するので、計算の順番は地域区分の記事の計算例で確かめられます。
訪問介護の算定要件:体制・人材・重度者等対応
大臣基準第3号イは、(Ⅰ)の要件を(1)〜(7)の7項目で定め、(Ⅱ)〜(Ⅴ)はその組み合わせです。割合の要件は、前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3月の1月あたりの実績の平均で計算します(留意事項通知)。
| 要件(大臣基準第3号イ) | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| (1) 研修計画 | 全ての訪問介護員等(登録型を含む)とサービス提供責任者について、1人ごとに研修計画を作り、計画に従って研修を実施または実施を予定する | (Ⅰ)〜(Ⅴ) |
| (2) 会議・伝達・報告 | 利用者の情報や留意事項の伝達、技術指導を目的とした会議を定期的に開く。サービス提供責任者が、担当の訪問介護員等に利用者の情報と留意事項を文書等の確実な方法で伝えてからサービスを始め、終了後に報告を受ける | (Ⅰ)〜(Ⅴ) |
| (3) 健康診断等 | 全ての訪問介護員等に定期的に実施する | (Ⅰ)〜(Ⅴ) |
| (4) 緊急時等の対応方法 | 運営基準第29条第6号の対応方法を利用者に明示する | (Ⅰ)〜(Ⅴ) |
| (5) 介護福祉士の割合 | 訪問介護員等のうち介護福祉士が30%以上、または介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者・1級課程修了者が50%以上 | (Ⅰ)、(Ⅱ)は(5)か(6) |
| (6) サービス提供責任者の経験 | 全てのサービス提供責任者が、3年以上の実務経験のある介護福祉士か、5年以上の実務経験のある実務者研修修了者等。2人以上の配置が必要な事業所は常勤のサービス提供責任者を2名以上 | (Ⅰ)、(Ⅱ)は(5)か(6) |
| (7) 重度要介護者等対応 | (一) 利用者のうち、要介護4・5、認知症日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・M、たんの吸引等を必要とする者が20%以上。または (二) 看護師との連携による24時間連絡体制、看取り期の対応方針の策定と説明・同意、方針の見直し、看取りの職員研修、看取り期の利用者が1人以上 | (Ⅰ)(Ⅲ) |
| ハ(2) サービス提供責任者か勤続年数 | 常勤のサービス提供責任者が2人以下の事業所で、基準を上回る常勤のサービス提供責任者を1人以上配置。または訪問介護員等のうち勤続7年以上が30%以上 | (Ⅲ)(Ⅳ) |
| ホ(2)(3) 中山間地域等 | 通常の事業の実施地域内の中山間地域等に住む利用者(居宅と最寄りの訪問介護事業所の距離が7kmを超える場合)に継続的に提供し、心身の状況や家族の環境の変化に応じて関係者が共同で訪問介護計画を見直す | (Ⅴ) |
(2)の「文書等の確実な方法による伝達」と「報告」は、サービス提供責任者と訪問介護員等の間のやり取りを記録に残す要件です。ソフトでの残し方は訪問介護の介護ソフトの記事にまとめています。
(7)(一)の割合は利用実人員または訪問回数で計算し、たんの吸引等を必要とする者を算入できるのは、社会福祉士及び介護福祉士法の登録を受けている事業所に限られます(留意事項通知)。(7)(二)の看取り期の利用者は、前年度または届出月の前3月に1人以上いることをいい、対応実績のある月と算定できる月の関係は令和6年度改定Q&A Vol.6 問1の表で示されています。看護師との「24時間連絡できる体制」は、事業所内で訪問介護員等が勤務していることを求めるものではなく、夜間も連携先の訪問看護ステーション等に連絡でき、必要な場合は緊急の呼び出しに応じて出勤する体制をいいます(Q&A Vol.1 問2)。
ハ(2)の勤続7年以上の割合は常勤換算で計算し、同一法人等での勤続年数を通算できます。同一法人の別のサービスの事業所で介護職員として働いた期間も含み、産前産後休業・病気休暇・育児・介護休業の期間も勤続年数に含められます(Q&A Vol.1 問6〜8)。(Ⅴ)の中山間地域等の利用者は、前年度または届出月の前3月の1月あたりの平均で1人以上いることが要件で、特別地域加算等を算定している利用者は数えません(Q&A Vol.1 問3)。利用者が月の途中で中山間地域等から転居した場合、その地域に住んでいる間にサービスを提供した実績があれば、その月の利用実人員に数えられます(Q&A Vol.11 問1)。
算定率:居宅介護支援は(Ⅱ)23.84%、訪問介護は(Ⅱ)33.9%
第271回分科会の資料によると、居宅介護支援は(Ⅱ)、訪問介護も(Ⅱ)の算定が最も多く、(Ⅰ)は居宅介護支援で1.71%、訪問介護で10.6%です。
| サービス | 区分 | 算定率(事業所ベース) | 時点 |
|---|---|---|---|
| 居宅介護支援 | (Ⅰ) | 1.71% | 令和7年11月審査分 |
| 居宅介護支援 | (Ⅱ) | 23.84% | 令和7年11月審査分 |
| 居宅介護支援 | (Ⅲ) | 14.08% | 令和7年11月審査分 |
| 居宅介護支援 | (A) | 0.89% | 令和7年11月審査分 |
| 訪問介護 | (Ⅰ) | 10.6% | 令和7年10月サービス提供分(35,586事業所) |
| 訪問介護 | (Ⅱ) | 33.9% | 同上 |
| 訪問介護 | (Ⅲ) | 0.4% | 同上 |
| 訪問介護 | (Ⅳ) | 0.3% | 同上 |
| 訪問介護 | (Ⅰ)〜(Ⅳ)なし | 54.8% | 同上 |
訪問介護の(Ⅴ)は、令和7年3月サービス提供分(令和7年4月審査分)の集計で算定事業所数119、事業所ベース0.3%です。資料1は、中山間地域等では(Ⅱ)の算定率が43.2%で、他の地域より高い傾向があるとしています。訪問介護事業所の調査(516事業所)で「満たすことが難しい」とされた要件は、たんの吸引等を必要とする利用者や看取り期の利用者に対応できる職員の確保・育成が55.2%、要介護4・5等の利用者の割合の要件(加算(Ⅰ)・(Ⅲ)関係)が53.3%でした。居宅介護支援の調査では、(A)を算定していない理由として、24時間連絡体制と相談対応の体制を確保できないが29.3%、会議を定期的に開催できないが8.9%です(資料6)。
届出と算定開始の時期
届出は電子情報処理組織を使う方法で行い、訪問介護は都道府県知事、居宅介護支援は市町村長に老健局長が定める様式で届け出ます(告示第19号・第20号)。電子申請・届出システムの使い方は電子申請・届出システムの記事にまとめています。
- 要件を確かめる訪問介護の割合の要件は、前年度(3月を除く)か届出月の前3月の平均で見る
- 電子情報処理組織で届け出る訪問介護は都道府県知事、居宅介護支援は市町村長に
- 算定を始める届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から
- 毎月、要件を満たしているか確かめる居宅介護支援(Ⅰ)の要介護3〜5の割合は、算定日が属する月の利用者で見る
留意事項通知は、加算等の算定開始時期について、支給限度額管理と利用者への周知期間を確保する観点から、届出が毎月15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月からとしています。居宅介護支援の(5)要介護3〜5の割合は「算定日が属する月の利用者の総数」で見るので、届出後も毎月確かめる必要があります。
令和9年度改定の論点:居宅介護支援の(Ⅰ)の重度者要件と(A)の廃止が検討中(2026年11月4日時点)
令和8年10月19日の第271回介護給付費分科会で、厚生労働省は居宅介護支援の特定事業所加算について次の対応案を示しました。これは「改定の方向性」として議論された案で、2026年11月4日時点では審議報告のとりまとめ前です。分科会は10月28日(第272回)と11月2日(第273回)にも開かれていますが、居宅介護支援と訪問介護の議題ではありません。決まった内容ではなく、告示の改正も出ていません。
| 対応案(第271回 資料6) | 内容 |
|---|---|
| (Ⅰ)の重度者要件の廃止 | 「算定日が属する月の利用者の総数のうち、要介護3・4・5の割合が40%以上」の要件を廃止してはどうか。主任介護支援専門員や常勤職員の手厚い配置の評価に重点を置く |
| (A)の廃止 | 算定事業所が少なく創設当初の目的を達せられていないため廃止してはどうか。経営への影響を勘案し、1年の経過措置を設けてはどうか |
| 連携による要件充足の拡大 | (A)だけに認めている24時間連絡体制や研修等の他事業所との連携を、上位の区分でも認めてはどうか |
| (13)の見直し | 「インフォーマルサービスを含む多様な主体のサービスが包括的に提供される計画の作成」を、計画への位置づけではなく、地域福祉の主体を含めた地域での連携体制の構築を要件としてはどうか |
資料6は、(Ⅰ)と(A)の事業所ベースの算定率が2%を下回っていること、要介護1・2と要介護3〜5で利用者1人あたりの労働投入時間に大きな差が見られなくなっていることを理由に挙げています。委員からは、24時間連絡体制について職員本人の携帯電話の保持ではなく併設事業所やオンコールでの対応を認めるべきという意見や、要介護3〜5が40%以上の要件は事業所を大規模化するほど満たしにくいという意見が出ています(資料6「これまでの分科会における主なご意見」)。
訪問介護については、第271回の資料1に特定事業所加算の対応案はありません。資料1に整理された意見には、重度者対応要件を緩和して(Ⅱ)の事業所の多くが(Ⅰ)に移行できるようにすべきという意見と、サービス提供体制強化加算と同じく区分支給限度基準額の対象外にしてほしいという意見があり、現状と課題では「前回改定で新設した加算Ⅴをはじめとして低調な加算区分もある」とされています。資料1の対応案は、初回加算の見直し(サービス提供責任者のアセスメントの評価、オンラインでの状況確認)や、移動コストを反映した報酬区分の見直しです。改定全体のスケジュールは令和9年度介護報酬改定の記事にまとめています。
処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅴとの関係
訪問介護では、介護職員等処遇改善加算の(Ⅰ)を算定するためのキャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)を、特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出で満たします(令和8年度分の処遇改善加算の通知 別紙1表3)。特定事業所加算(Ⅲ)〜(Ⅴ)では要件Ⅴを満たせません。居宅介護支援には令和8年6月以降、単一区分で加算率2.1%の処遇改善加算が新しく設けられましたが、その算定要件は令和8年度特例要件、またはキャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件です(同通知 別紙1表2-3)。要件Ⅴは課されないため、特定事業所加算の届出は処遇改善加算の要件になっていません。要件Ⅰ〜Ⅴの中身は処遇改善加算のキャリアパス要件の記事で説明しています。
介護ソフトで管理する要件
居宅介護支援の特定事業所加算では、介護支援専門員1人あたりの利用者数、要介護3〜5の割合((Ⅰ)のみ)、会議・研修・事例検討会の記録を毎月確かめます。訪問介護では、訪問介護員等に占める介護福祉士や勤続7年以上の割合、要介護4・5等の利用者の割合、サービス提供責任者から訪問介護員等への文書での伝達と報告の記録が要件に関わります。利用者の要介護度や職員の資格・勤続年数を介護ソフトに登録してあれば、割合の計算と記録の提示がしやすくなります。居宅介護支援の対応製品は居宅介護支援向け介護ソフトの比較と居宅介護支援の立場からの探し方で絞り込めます。
訪問介護の対応製品は次のとおりです。
よくある質問
居宅介護支援の特定事業所加算(Ⅱ)と(Ⅲ)の違いは何ですか
常勤専従の介護支援専門員の人数です。どちらも常勤専従の主任介護支援専門員1名以上が必要で、(Ⅱ)は介護支援専門員3名以上(合計4名)、(Ⅲ)は2名以上(合計3名)です。その他の要件(会議、24時間連絡体制、研修、支援困難事例、ヤングケアラー等の研修、特定事業所集中減算を受けていないこと、45名未満、実習への協力、他法人との事例検討会、インフォーマルサービスを含む計画)は同じです。
訪問介護の特定事業所加算は、利用者の自己負担にも影響しますか
影響します。訪問介護の特定事業所加算は所定単位数に割合を掛けて加算するため、利用者の1〜3割負担もその分増え、区分支給限度基準額の管理の対象にもなります。第271回分科会の資料1には、サービス提供体制強化加算と同じく限度額の対象外にしてほしいという団体の意見が載っていますが、2026年11月4日時点で見直しの案は示されていません。
令和9年度改定で、居宅介護支援の特定事業所加算(A)はなくなりますか
2026年11月4日時点では決まっていません。令和8年10月19日の第271回介護給付費分科会で、厚生労働省は(A)を廃止し、1年の経過措置を設ける案を示しましたが、審議報告のとりまとめ前の「改定の方向性」の段階です。確定した内容は厚生労働省の介護給付費分科会のページと、改定後の告示で確かめてください。
訪問介護の勤続7年以上の割合は、他の事業所から異動してきた職員も数えられますか
同一法人等での勤続年数を通算できます。同一法人の別のサービスの施設・事業所で介護職員として働いていた期間も含められ、事業所の合併や事業承継で職員に変更がない場合も通算できます。産前産後休業や病気休暇、育児・介護休業の期間も、雇用関係が続いているので勤続年数に含められます(令和6年度改定Q&A Vol.1 問7・問8)。
出典
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf - 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和6年厚生労働省告示第86号)新旧対照表」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001227814.pdf - 厚生労働省 法令等データベース「厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab4584&dataType=0 - 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について 新旧対照表」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001227887.pdf - 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1225 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」(令和6年3月15日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001227740.pdf - 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1263 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.6)」(令和6年5月17日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001255245.pdf - 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1326 令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.11)」(令和6年11月11日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001330261.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第271回 資料1 訪問介護(改定の方向性)」(令和8年10月19日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001764375.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第271回 資料6 居宅介護支援・介護予防支援(改定の方向性)」(令和8年10月19日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001760887.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)直近の開催内容(第241回〜)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html - 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日 老発0313第6号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675724.pdf
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