地域区分とは|介護報酬の級地・上乗せ割合と1単位の単価の一覧・調べ方【2026年】

要点
地域区分とは、人件費の地域差を介護報酬に反映するために、事業所の所在地ごとに1単位の単価を変える仕組みです。区分は1級地(上乗せ割合20%)から7級地(3%)とその他(0%)の8つで、サービスごとの人件費割合(70%・55%・45%)と組み合わせて、1単位の単価が10円〜11.40円に決まります。令和6年度から令和8年度までの区分は、東京都特別区が1級地、横浜市・川崎市・大阪市などが2級地で、1,741の自治体のうち1,292が「その他」(10円)です。令和9年度(2027年度)改定に向けては、2026年8月5日の介護給付費分科会で地域区分が議題になり、公務員の地域手当の見直しを踏まえた対応が論点として示されています(2026年10月8日時点で確認した厚生労働省の資料の内容)。
- 8区分級地の数1級地〜7級地とその他
- 20%1級地の上乗せ割合東京都特別区
- 11.40円いちばん高い1単位の単価1級地・人件費割合70%
- 10円その他の地域の単価1,292の自治体
地域区分とは:1単位の単価を地域で変える仕組み
地域区分は、介護報酬の「単位」を円に直すときの単価を、事業所の所在地とサービスの種類で変える仕組みです。厚生労働省の資料では、利用者に直接サービスを提供する従業者の賃金は地域によって差があるため、この地域差を介護報酬に反映するために「単位」制を採用し、サービスごと・地域ごとに1単位の単価を設定していると説明されています。
介護保険法では、介護報酬は事業所が所在する地域等も考慮した、サービス提供に要する平均的な費用の額を勘案して設定することとされています(介護保険法第41条第4項等)。
- 単位数: サービスごとに決まる。根拠は「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」等の告示
- 1単位の単価: サービス別・地域別に決まる。根拠は「厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成27年厚生労働省告示第93号)
事業者に支払われるサービス費は、単位数に1単位の単価を掛けた額で、そのうち1割・2割または3割が利用者の自己負担です。
各市町村にどの級地を当てるかは、公平性・客観性を担保する観点から、公務員(国家・地方)の地域手当の設定がある地域は、その区分に準拠することが原則です。そのうえで、見直しで単価が大きく変わる自治体のための経過措置と、隣接する地域との差が大きい自治体のための特例が設けられています(後の見出しで説明します)。
級地ごとの上乗せ割合と1単位の単価(一覧)
1単位の単価は、級地の上乗せ割合と、サービスの人件費割合の組み合わせで決まります。第262回介護給付費分科会(2026年8月5日)の資料に載っている令和6〜8年度の単価は次のとおりです。
| 級地 | 上乗せ割合 | 人件費割合70% | 人件費割合55% | 人件費割合45% |
|---|---|---|---|---|
| 1級地 | 20% | 11.40円 | 11.10円 | 10.90円 |
| 2級地 | 16% | 11.12円 | 10.88円 | 10.72円 |
| 3級地 | 15% | 11.05円 | 10.83円 | 10.68円 |
| 4級地 | 12% | 10.84円 | 10.66円 | 10.54円 |
| 5級地 | 10% | 10.70円 | 10.55円 | 10.45円 |
| 6級地 | 6% | 10.42円 | 10.33円 | 10.27円 |
| 7級地 | 3% | 10.21円 | 10.17円 | 10.14円 |
| その他 | 0% | 10円 | 10円 | 10円 |
表の単価は、10円 ×(1 + 上乗せ割合 × 人件費割合)で計算した値を、小数第2位に丸めた値と一致します。たとえば1級地・人件費割合70%は、10円 ×(1 + 0.20 × 0.70)= 11.40円です。告示では、10円に「千分の千百四十」のような割合を掛けた額として定められています。
人件費割合の3区分と対象サービス
人件費割合は、サービスの費用のうち人件費が占める割合の区分で、70%・55%・45%の3つがあります。人件費割合が高いサービスほど、同じ級地でも単価が高くなります。第262回の資料では、次のように分けられています。
| 人件費割合 | サービス |
|---|---|
| 70% | 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護 |
| 55% | 訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護 |
| 45% | 通所介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、地域密着型通所介護 |
居宅療養管理指導と福祉用具貸与は、どの級地でも単価が「千分の千」、つまり10円です(1単位の単価の告示)。この2つは地域区分による上乗せがありません。告示では、介護予防の各サービスも、対応するサービスと同じ区分に並んでいます。
人件費割合の3区分は、平成21年度の介護報酬改定で、それまでの2類型(60%と40%)から見直されたものです(第243回介護給付費分科会の資料の見直しの経緯)。
自分の市町村が何級地か調べる方法
自分の市町村の級地は、厚生労働省の資料にある「令和6年度から令和8年度までの間の地域区分の適用地域」の表で確かめられます。この表は第262回介護給付費分科会の資料3と、第243回の資料1に載っています。級地ごとに都道府県と市町村の名前が並び、表に名前の無い市町村は「その他の地域」(0%)です。
| 級地 | 自治体の数 | 表にある市町村の例 |
|---|---|---|
| 1級地(20%) | 23 | 東京都特別区 |
| 2級地(16%) | 7 | 東京都調布市・町田市、横浜市、川崎市、大阪市 |
| 3級地(15%) | 29 | さいたま市、千葉市、東京都八王子市、名古屋市、兵庫県西宮市 |
| 4級地(12%) | 24 | 千葉県船橋市、相模原市、大阪府豊中市、神戸市 |
| 5級地(10%) | 59 | 茨城県水戸市、京都市、堺市、広島市、福岡市 |
| 6級地(6%) | 137 | 仙台市など |
| 7級地(3%) | 170 | 新潟市など |
| その他(0%) | 1,292 | 上の表に無い地域 |
調べるときの注意は次の3つです。
- 合併・名称変更: 表の名称は、令和6年4月1日にその名称を持つ市町村・特別区の、同日時点の区域を指します
- 括弧の数字: 表で市町村名の後ろに付いている「(3)」などの数字は、令和3年度から令和5年度までの級地です(第262回の資料の別紙の注記)。今の級地ではありません
- 単価は事業所の所在地で決まる: 告示では、1単位の単価は事業所または介護保険施設が所在する地域区分で決まるとされています。利用者の住所ではありません
介護ソフト(請求ソフト)では、事業所の情報に地域区分を設定しておくと、その級地と人件費割合の単価で請求額が計算されます。地域区分が変わる改定の前後は、事業所の設定とソフトの更新予定を確かめておくと安心です。介護ソフトの比べ方は介護ソフトのカテゴリと介護ソフトの選び方にまとめています。
1単位の単価の計算例と端数処理
介護報酬の額は、単位数に1単位の単価を掛け、1円未満を切り捨てて計算します。厚生労働省の留意事項通知(令和6年3月の改正後)では、端数処理を次のように定めています。
- 単位数を計算する加減算で割合を掛けるたびに四捨五入
- 単位数に1単位の単価を掛ける地域区分と人件費割合で決まる単価
- 1円未満を切り捨てる金額に直すときの端数処理
留意事項通知に載っている訪問介護(1級地)の例は、次のとおりです。
| 手順 | 計算 |
|---|---|
| 基本の単位数 | 身体介護中心 30分以上1時間未満で387単位 |
| 夜間・早朝の加算(25%) | 387 × 1.25 = 483.75 → 484単位 |
| 特定事業所加算Ⅳ(3%) | 484 × 1.03 = 498.52 → 499単位 |
| 月に8回提供 | 499単位 × 8回 = 3,992単位 |
| 金額に直す(1級地 11.40円) | 3,992単位 × 11.40円 = 45,508.80円 → 45,508円 |
387 × 1.25 × 1.03 をまとめて計算してから四捨五入するのではなく、割合を掛けるたびに四捨五入して整数に直します。ただし、特別地域加算などの支給限度額管理の対象外の加算や、事業所と同一建物の利用者等にサービスを行う場合の減算などは、対象となる単位数の合計に割合を掛けて計算します。
請求・届出の担当者向けの記事は事務・請求担当者向けのページにまとめています。
経過措置と特例:本来の級地と違う区分になる自治体
級地は公務員の地域手当に準拠するのが原則ですが、経過措置と特例で、本来の級地と違う区分が当てられている自治体があります。
- 経過措置: 地域区分の見直しで単価が大きく変わるのを和らげるため、市町村の意向を確かめたうえで、見直し前後の支給割合の範囲内で設定できる仕組みです。平成27年度改定のときに設けられ、令和6年度改定で令和8年度末まで延長されました
- 特例: 隣接する地域との関係で公平性を欠くと考えられる自治体について、市町村の意向を確かめたうえで、級地の引上げ・引下げを認める仕組みです。高い(低い)区分の地域に全て囲まれている場合の「完全囲まれルール」、5級地以上の差がある地域と隣接する場合の「5級地差ルール」(令和6年度に新設)などがあります
第262回の資料によると、令和6年4月1日時点で、公務員の地域手当に準拠している自治体が1,544、経過措置を適用している自治体が80です。令和6年度改定で級地が変わった自治体は38(引上げ35、引下げ3)でした。
障害福祉の地域区分との違い
障害福祉サービス等報酬にも地域区分があり、級地の8区分と上乗せ割合は介護報酬と同じです。違うのは人件費割合の決め方と単価の幅です。
介護報酬
- 上乗せ割合は1級地20%〜その他0%の8区分
- 人件費割合は70%・55%・45%の3区分
- 1単位の単価は10円〜11.40円
- 経過措置は令和8年度末まで
障害福祉
- 上乗せ割合は介護報酬と同じ8区分
- 人件費割合はサービスごとに設定
- 1単位の単価は10円〜11.60円(生活介護は10円〜11.22円)
- 経過措置は令和8年度末まで
第52回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(2026年1月22日)の資料では、障害福祉の級地は、国家公務員の地域手当の区分を基本とし、地域手当の設定がない地域は、平成30年度以降は介護保険サービスと同様の地域区分を設定している(一部地域に経過措置あり)とされています。令和6年度以降も、原則として介護報酬と同じ区分とすることが基本です。
特例の中身には違いがあります。複数の地域と隣接する場合の特例は、介護報酬では「4級地以上の級地差」がある地域を含む場合ですが、障害福祉では「3級地以上の級地差」がある地域を含む場合とされています。障害福祉の事業所向けのツールは障害福祉事業所向けのページと障害福祉ソフトのカテゴリにまとめています。
令和9年度(2027年度)改定に向けた見直しの議論
地域区分は、令和9年度介護報酬改定に向けた議論のテーマの1つです。第262回介護給付費分科会(2026年8月5日)で議題になり、資料では次の論点が示されました。
地域区分については、これまでの見直しにおいても、地域における民間の賃金水準を反映して設定されている公務員の地域手当に準拠することを原則として設定してきていることを踏まえ、令和9年度介護報酬改定における対応についてどのように考えるか。
見直しが議論になっている背景は、資料では次のように説明されています。
- 国家公務員の地域手当が変わった: 令和6年の人事院勧告で、級地区分を設定する地域の単位を市町村単位から都道府県単位を基本とする形に広げ、級地区分の段階数を7区分から5区分にする見直しが示されました。令和7年度から段階的に支給割合の引上げ・引下げが行われています
- 地方公務員の地域手当も同様に見直された: 総務省の方針を踏まえて、各市町村が地域手当を設定することになります
- 政府の計画: 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」(令和7年6月13日閣議決定)では、介護・障害福祉・保育の地域区分について、隣接した市町村等との級地格差による人材確保への影響も踏まえて早急に検討し、次期報酬改定までに必要な見直しを行うとされています
- 経過措置の期限: 今の経過措置は令和8年度末までです
令和9年度からの介護報酬の地域区分がどうなるかは、2026年10月8日時点で公表されている資料では決まっていません。介護給付費分科会の開催一覧では、地域区分を議題にした回は第243回(2024年12月23日)・第252回(2025年12月26日。報告)・第262回(2026年8月5日)で、最新の回は第268回(2026年9月30日)です。
障害福祉については、第52回報酬改定検討チームの資料に、2026年2〜3月に市町村への意向調査を行い、2026年末頃に市町村へ令和9年度からの地域区分を示す予定と書かれています(2026年1月時点の予定)。
令和9年度改定全体のスケジュールと論点は介護報酬改定 2027の記事で整理しています。
よくある質問
地域区分は利用者の住所と事業所の所在地のどちらで決まりますか
事業所の所在地で決まります。1単位の単価の告示では、事業所または介護保険施設が所在する地域区分とサービスの種類に応じて単価を定めるとされています。
自分の市町村が表に載っていません。単価はいくらですか
令和6〜8年度の適用地域の表に名前が無い市町村は「その他の地域」で、上乗せ割合は0%、1単位の単価は10円です。第262回介護給付費分科会の資料では、1,741の自治体のうち1,292がその他の地域です。
居宅療養管理指導や福祉用具貸与にも地域区分はありますか
単価への上乗せはありません。1単位の単価の告示では、居宅療養管理指導と福祉用具貸与(介護予防を含む)は、どの級地でも「千分の千」、つまり10円です。
地域区分は次にいつ変わりますか
今の区分は令和6年度から令和8年度までの適用です。令和9年度介護報酬改定に向けて、公務員の地域手当の見直しを踏まえた対応が分科会で議論されていますが、2026年10月8日時点では、令和9年度からの区分は決まっていません。
出典
- 厚生労働省「地域区分」(第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3、令和8年8月5日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001733555.pdf - 厚生労働省「地域区分」(第243回社会保障審議会介護給付費分科会 資料1、令和6年12月23日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001477917.pdf - 厚生労働省「厚生労働大臣が定める一単位の単価(平成27年厚生労働省告示第93号)」(新旧対照、平成27年4月1日施行)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080834.pdf - 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1213 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準…の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について」(令和6年3月15日)
https://www.mhlw.go.jp/content/001227724.pdf - 厚生労働省・こども家庭庁「地域区分について(報告)」(第52回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料3、令和8年1月22日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001638100.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)直近の開催内容(第241回〜)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
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