認知症チームケア推進加算とは|(Ⅰ)150単位・(Ⅱ)120単位の算定要件・研修・ワークシート・算定率【2026年】

要点
認知症チームケア推進加算は、認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぎ、出現時に早期に対応するための平時からのチームケアを評価する加算で、(Ⅰ)が月150単位、(Ⅱ)が月120単位です(令和6年度介護報酬改定で新設、2026年11月5日時点)。グループホームと介護保険施設が対象で、研修を修了した職員の配置、対象者ごとのBPSDの評価、月1回以上のカンファレンスが求められます。この記事では、要件・研修・記録の方法・算定状況を、厚生労働省の通知とQ&A、分科会資料の原文から整理します。
- 150単位加算(Ⅰ)1月につき
- 120単位加算(Ⅱ)1月につき
- 2分の1以上対象者の割合日常生活自立度Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・M
- 月1回以上カンファレンス対象者1人につき
認知症チームケア推進加算とは
認知症チームケア推進加算とは、研修を修了した職員を中心に複数人の介護職員でチームを組み、BPSDの予防と出現時の早期対応に資するケアを日頃から行っていることを評価する加算です。厚生労働省の留意事項通知(令和6年3月18日)は、入所者等に日頃から適切な介護を提供することでBPSDの出現を予防し、出現時にも早期に対応して重症化を防ぐことができる、という考え方を示しています。
BPSDが出ている人だけが対象ではありません。Q&A(Vol.2)は、BPSDが認められる入所者等に限らず、対象者に予防等に資するチームケアを実施していれば算定できるとしています。
単位数と対象サービス
単位数は(Ⅰ)が150単位/月、(Ⅱ)が120単位/月で、対象は次の5つのサービスです(令和6年度介護報酬改定における改定事項について)。
- 認知症対応型共同生活介護(介護予防を含む)
- 介護老人福祉施設
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
認知症専門ケア加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している場合は、算定できません。
算定要件:4つ
加算(Ⅰ)の要件は、対象者の割合、研修修了者の配置とチーム、BPSDの評価に基づくチームケア、カンファレンスと計画の見直しの4つです。
- 利用者・入所者の総数のうち、「周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者」の占める割合が2分の1以上
- BPSDの予防等に資する認知症介護の指導に係る専門的な研修の修了者(または、認知症介護に係る専門的な研修とBPSDの予防等に資するケアプログラムを含んだ研修の修了者)を1名以上配置し、複数人の介護職員から成るチームを組んでいる
- 対象者に対し、個別にBPSDの評価を計画的に行い、その評価に基づく値を測定し、BPSDの予防等に資するチームケアを実施している
- カンファレンスの開催、計画の作成、BPSDの有無・程度についての定期的な評価、ケアの振り返り、計画の見直し等を行っている
加算(Ⅱ)は、1・3・4を満たし、BPSDの予防等に資する認知症介護に係る専門的な研修の修了者を1名以上配置してチームを組んでいることが要件です。
加算(Ⅰ)
150単位/月
- 認知症介護指導者養成研修を修了
- かつ、認知症チームケア推進研修を修了
加算(Ⅱ)
120単位/月
- 認知症介護実践リーダー研修を修了
- かつ、認知症チームケア推進研修を修了
対象者:日常生活自立度Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Mの入所者等
対象者である「周囲の者による日常生活に対する注意を必要とする認知症の者」は、日常生活自立度のランクⅡ、Ⅲ、ⅣまたはMに該当する入所者等です(留意事項通知)。
「2分の1以上」の割合は、届出日の属する月の前3月の各月末時点の入所者等数の平均で算定します(Q&A Vol.2)。
研修要件:認知症チームケア推進研修
(Ⅰ)(Ⅱ)のどちらも、認知症チームケア推進研修の修了が必要です。Q&A(Vol.2)は、認知症介護指導者養成研修や認知症介護実践リーダー研修を修了しているだけでは要件を満たさないとしています。
- 研修の実施主体は、認知症介護研究・研修センター(仙台、東京、大府)。都道府県・指定都市が実施することもできる(Q&A Vol.2)
- 研修はオンデマンド形式で、申込みは認知症介護研究・研修センターのホームページから行う(Q&A Vol.14)
- テキスト、ワークシート、BPSD25Qのシート、チェックリストは、研修動画の視聴ページからダウンロードできる(Q&A Vol.14)
- 東京都の日本版BPSDケアプログラムのアドミニストレーター養成研修の修了者は、認知症チームケア推進研修の修了者とみなしてよい。東京都以外で使うには道府県がケアプログラムを導入している必要があり、導入状況は事業所のある都道府県に確かめる(Q&A Vol.14)
配置要件の職員は、複数のチームに参加できます(各チームで一定の関与が求められます)。チームを構成する介護職員は対象サービスを直接提供する職員で、介護福祉士でなくてもかまいません(Q&A Vol.2)。留意事項通知は、対象者の人数に応じて1人の修了者が全てのチームに対応することが難しいときは、複数の者が研修を修了することが望ましいとしています。
チームケアの進め方と記録:ワークシート
チームは、対象者1人につき月1回以上の定期的なカンファレンスを開き、評価・ケア方針・振り返りを記録します。留意事項通知が示す進め方は次のとおりです。
- 対象者を把握する日常生活自立度Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・M
- チームを組む研修修了者と複数人の介護職員
- BPSDを評価する評価指標を用いて計画的に
- 計画を作り、ケアを実施する対象者ごとに個別に作成
- カンファレンスを開く対象者1人につき月1回以上
- 記録するワークシートと介護記録等
BPSDの評価には、認知症チームケア推進研修で示された評価指標を使います(Q&A Vol.2)。計画は評価の結果と整合の取れたものを個別に作り、画一的な計画にならないようにします。日々のケアで心身の状態や環境に変化があったときは、その都度カンファレンスを開いて再評価します。
記録は、別紙様式の「認知症チームケア推進加算・ワークシート」と介護記録等に残します。Q&A(Vol.2)は、介護記録等とは介護日誌、施設サービス計画書、認知症対応型共同生活介護計画書等を指し、この加算のためだけに新たな書式を定める必要はないとしています。アドミニストレーター養成研修の修了者が、日本版BPSDケアプログラムの評価指標を使ってチームケアを行う場合は、DEMBASEの記録(入力履歴のPDFと打合せの記録)でワークシートに代えられます(Q&A Vol.14)。
認知症専門ケア加算との関係
認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定している場合、認知症チームケア推進加算は算定できません。ただしQ&A(Vol.2)は、同一施設内で入所者Aに認知症専門ケア加算、入所者Bに認知症チームケア推進加算を算定することは可能としています。また、認知症の症状が不安定で、認知症チームケア推進加算に基づくケアのほうが望ましいと認められる入所者は、認知症専門ケア加算から認知症チームケア推進加算に切り替えても差し支えないとしています。
算定状況:算定率は1割に届かない
算定している事業所の割合は、(Ⅰ)が0.4〜1.3%、(Ⅱ)が4.2〜7.9%です。介護給付費分科会の資料(介護給付費等実態統計と介護保険総合データベースの任意集計、令和7年11月審査分)の数字は次のとおりです。
| サービス | 加算(Ⅰ) | 加算(Ⅱ) | 資料 |
|---|---|---|---|
| 認知症対応型共同生活介護 | 142事業所・1.0% | 857事業所・6.0% | 第257回資料3 |
| 介護老人福祉施設 | 84事業所・1.0% | 390事業所・4.6% | 第273回資料1 |
| 地域密着型介護老人福祉施設 | 27事業所・1.1% | 108事業所・4.2% | 第273回資料1 |
| 介護老人保健施設 | 53事業所・1.3% | 325事業所・7.9% | 第273回資料2 |
| 介護医療院 | 4事業所・0.4% | 48事業所・5.2% | 第273回資料3 |
同じ資料で、グループホームの認知症専門ケア加算(Ⅰ)は2,662事業所・18.5%、(Ⅱ)は124事業所・0.9%です。グループホームの報酬全体は認知症グループホームの記事にまとめています。
記録と評価に使う機器・ソフト
認知症ケア支援の機器の種類と選び方は認知症ケア支援の機器の記事で説明しています。掲載している認知症ケア支援のツールは次のとおりです。
ワークシートと介護記録等を突き合わせて残すには、施設の介護記録を扱う介護ソフトを使います。施設系に対応した介護ソフトは次のとおりです。
一覧は認知症ケア支援のカテゴリと施設系の立場からの探し方で見られます。この加算のワークシートに対応しているかどうかは掲載データでは確かめていないので、各製品の公式サイトで確かめてください。
よくある質問
認知症チームケア推進加算は何単位ですか
(Ⅰ)が150単位/月、(Ⅱ)が120単位/月です。違いは配置する研修修了者で、(Ⅰ)は認知症介護指導者養成研修、(Ⅱ)は認知症介護実践リーダー研修を修了し、どちらも認知症チームケア推進研修を修了していることが必要です。
認知症専門ケア加算と一緒に算定できますか
同じ入所者について両方は算定できません。Q&A(Vol.2)は、同一施設内で入所者ごとにどちらかを算定することは可能としています。
BPSDが出ていない入所者も対象になりますか
なります。対象は日常生活自立度のランクⅡ、Ⅲ、ⅣまたはMに該当する入所者等で、BPSDが認められる人に限らず、予防等に資するチームケアを実施していれば算定できます(Q&A Vol.2)。
記録は専用の様式が必要ですか
評価やケア方針は「認知症チームケア推進加算・ワークシート」と介護記録等に記録します。介護記録等は介護日誌や施設サービス計画書などで、この加算のためだけに新たな書式を定める必要はありません(Q&A Vol.2)。
出典
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf - 厚生労働省「認知症チームケア推進加算に関する実施上の留意事項等について」(令和6年3月18日 老高発0318第1号・老認発0318第1号・老老発0318第1号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001229250.pdf - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)」(令和6年3月19日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001239535.pdf - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.9)」(令和6年8月29日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001309723.pdf - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.14)」(令和7年4月18日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001478559.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第257回 資料3 認知症対応型共同生活介護」(令和8年5月25日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001703593.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第273回 資料1 介護老人福祉施設」(令和8年11月2日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001765516.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第273回 資料2 介護老人保健施設」(令和8年11月2日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001765517.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第273回 資料3 介護医療院」(令和8年11月2日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001765518.pdf
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