認知症グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは|人員基準、定員、報酬、事業所数、令和9年度改定の論点【2026年】

要点
認知症グループホームは、介護保険法では「認知症対応型共同生活介護」という地域密着型サービスです。認知症の要介護者が、定員5〜9人の共同生活住居で家庭的な環境のもとに暮らしながら、入浴・排せつ・食事等の介護、日常生活上の世話、機能訓練を受けます(介護保険法第8条第20項)。介護従業者は日中は利用者3人に1人以上、夜間はユニットごとに1人以上を置き、計画作成担当者(介護支援専門員)と、認知症介護の経験と研修修了が必要な管理者を配置します。事業所数は令和6年10月1日時点で14,341事業所、基本報酬は1日765〜859単位(令和6年度改定後)です。令和9年度改定に向けては、地域の拠点機能の評価や、計画作成担当者と夜勤の配置要件の見直しが論点になっています。
認知症グループホームとは
介護保険法第8条第20項は、認知症対応型共同生活介護を「要介護者であって認知症であるもの(その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)について、その共同生活を営むべき住居において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓練を行うこと」と定めています。要支援2の人を対象にした介護予防認知症対応型共同生活介護もあります(同法第8条の2第15項)。
事業の基本方針は、指定地域密着型サービスの基準(平成18年厚生労働省令第34号)第89条にあります。要介護者であって認知症である人が、共同生活住居で「家庭的な環境と地域住民との交流の下で」入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練を受け、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにする、という内容です。地域密着型サービスなので、指定と指導は市町村が行い、利用できるのは原則としてその市町村の住民です。
厚生労働省の第257回介護給付費分科会資料(令和8年5月)は、利用者像を「認知症(急性を除く)の高齢者」とし、要介護度の分布は要介護1が22.6%、要介護2が25.4%、要介護3が24.7%、要介護4が16.4%、要介護5が10.3%、平均要介護度は2.64と示しています(介護給付費等実態統計 令和7年4月審査分)。
人員基準:介護従業者・計画作成担当者・管理者
人員は同基準第90条と第91条で決まっています。
| 職種 | 配置基準 |
|---|---|
| 介護従業者(日中) | 常勤換算で、利用者の数が3またはその端数を増すごとに1以上 |
| 介護従業者(夜間・深夜) | 共同生活住居(ユニット)ごとに1以上。ただし、3つの共同生活住居が同一階に隣接し、一体的に運営され、安全対策を取ったうえで利用者の安全を確保できると認められる場合は、事業所全体で2以上 |
| 計画作成担当者 | 専従で、事業所に1以上。うち1以上は介護支援専門員(サテライト型は認知症介護実践者研修などの修了者でも可) |
| 管理者 | 共同生活住居ごとに専従の常勤。3年以上認知症の人の介護に従事した経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了していること |
介護従業者のうち1以上は常勤でなければならず、計画作成担当者は厚生労働大臣が定める研修を修了していることが条件です。介護支援専門員である計画作成担当者は、介護支援専門員でない他の計画作成担当者の業務を監督します(第90条第8項)。
設備基準:1〜3ユニット、定員5〜9人、居室7.43㎡以上
設備は同基準第93条で定められています。
- 1〜3共同生活住居(ユニット)の数サテライト型は1〜2
- 5〜9人1つの共同生活住居の入居定員
- 7.43㎡以上居室の床面積定員は1人。処遇上必要な場合は2人
居室のほか、居間・食堂・台所・浴室・消火設備など必要な設備を備え、居間と食堂は同一の場所でもよいとされています。立地は、利用者が地域住民と交流できるよう、住宅地または住宅地と同程度に家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあることが求められます。
運営基準で特徴的なところ
- 入居時の認知症の確認: 入居申込者の主治医の診断書などで、認知症であることの確認を行います(第94条)
- 身体拘束の適正化: 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催し、指針の整備と研修の定期的な実施が求められます(第97条)
- 運営推進会議: 利用者・家族・地域住民の代表者・市町村職員・地域包括支援センター職員などで構成する運営推進会議をおおむね2月に1回以上開き、活動状況を報告して評価を受けます(第108条で準用する第34条。地域密着型通所介護の「六月」が「二月」に読み替えられています)
運営推進会議の記録と公表、身体拘束の記録、認知症対応型共同生活介護計画の作成と見直しは、記録ソフトで残す場面が多い業務です。
基本報酬と主な加算
第257回分科会資料によると、令和6年度改定後の基本報酬は次のとおりです。1ユニットの事業所は(Ⅰ)、2ユニット以上は(Ⅱ)を算定します。
| 区分 | 1日あたりの単位数 |
|---|---|
| 認知症対応型共同生活介護費(Ⅰ)(1ユニット) | 765〜859単位 |
| 認知症対応型共同生活介護費(Ⅱ)(2ユニット以上) | 753〜845単位 |
要介護度ごとの正確な単位数は告示(指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準)で確認してください。同資料の算定状況(令和7年11月審査分)では、医療連携体制加算(Ⅰ)ハ(37単位/日)を算定している事業所が75.5%、初期加算は30単位/日です。令和6年度改定後の加算には、協力医療機関連携加算(新設)のほか、新興感染症等施設療養費、生産性向上推進体制加算などがあります。
収支差率は、令和6年度決算(税引前、物価高騰対策関連補助金を含まない)で4.9%です。
事業所数と利用の状況
| 統計 | 時点 | 数 |
|---|---|---|
| 介護サービス施設・事業所調査 | 令和6年10月1日 | 14,341事業所(前年比+79、0.6%増) |
| 介護給付費等実態統計(請求事業所数) | 令和7年4月審査分 | 14,233事業所、受給者22.0万人 |
事業所数は1万4千台で、同じ調査の介護保険施設(特養8,621・老健4,214・介護医療院917)の合計13,752より多い数です。
令和9年度改定に向けた論点
第269回介護給付費分科会(令和8年10月9日)の資料は、認知症対応型共同生活介護について2つの論点を示しています。
論点① 地域の認知症ケアの拠点化
認知症基本法と基本計画を踏まえた見直し
- 地域の拠点としての機能(相談・交流・情報発信など)を評価する方向
論点② 柔軟な配置基準と安全確保
人材確保が難しい地域への対応
- 人材確保が困難で経営が厳しい1ユニットの事業所について、計画作成担当者(介護支援専門員)の配置要件の見直しを検討
- 見守り機器等を活用した体制を要件に、2ユニットが同一階で隣接し別の階の1ユニットと一体的に運営されている場合や、同一階に隣接していない3ユニットでも夜勤2人体制を可能にする案
夜勤2人体制の拡大は「見守り機器等を活用した継続的な状態把握や迅速な対応が可能な体制」が条件になっています。見守り機器の導入費は介護テクノロジー導入支援事業の記事で、認知症ケアを支える機器は認知症生活支援・認知症ケア支援の記事にまとめています。これらは分科会の対応案であり、2026年10月28日時点で改定内容として決まったものではありません。改定の全体のスケジュールは令和9年度介護報酬改定の記事にまとめています。
介護ソフトの選び方
認知症グループホームの記録・請求は、施設系の介護ソフトで対応している製品が多く、運営推進会議の記録や身体拘束の記録、認知症対応型共同生活介護計画の作成と見直しを1つのソフトで扱えるかが分かれ目です。施設系向け介護ソフトの比較と施設の立場からの探し方で絞り込めます。認知機能のチェックやケアの支援に使う機器は認知症生活支援・認知症ケア支援のカテゴリにあります。
よくある質問
認知症グループホームの夜勤は何人必要ですか
指定地域密着型サービスの基準第90条で、夜間と深夜の時間帯は共同生活住居(ユニット)ごとに1人以上の介護従業者を置くことになっています。例外として、3つの共同生活住居が同一階に隣接していて一体的に運営され、安全対策を取ったうえで利用者の安全が確保できると認められる場合は、事業所全体で2人以上でよいとされています。令和8年10月の第269回介護給付費分科会では、見守り機器等を活用した体制を要件に、この例外を広げる対応案が示されています。
要介護1でも入れますか
対象は要介護者であって認知症である人(急性の状態にある人を除く)で、要介護度に下限はありません。厚生労働省の第257回介護給付費分科会資料では、利用者の22.6%が要介護1、25.4%が要介護2です(令和7年4月審査分)。要支援2の人は介護予防認知症対応型共同生活介護の対象です。
運営推進会議はどれくらいの頻度で開きますか
おおむね2月に1回以上です。指定地域密着型サービスの基準第108条が地域密着型通所介護の第34条を準用し、「六月」を「二月」に読み替えています。利用者・家族・地域住民の代表者・市町村職員・地域包括支援センター職員などに活動状況を報告して評価を受け、記録を作成して公表します。
全国にいくつありますか
令和6年介護サービス施設・事業所調査(令和6年10月1日時点)では14,341事業所です。介護給付費等実態統計の請求事業所数(令和7年4月審査分)では14,233事業所、受給者は22.0万人です。
出典
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - e-Gov法令検索「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100034 - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第257回 資料3 認知症対応型共同生活介護」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001703593.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第269回 資料4 認知症対応型共同生活介護」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001758851.pdf - 厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service24/dl/gaikyo.pdf
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