介護医療院とは|Ⅰ型・Ⅱ型の違い、人員基準、報酬、施設数、老健・特養との違い【2026年】

要点
介護医療院は、要介護者のうち「主として長期にわたり療養が必要である者」に、療養上の管理・看護・医学的管理の下の介護・機能訓練・その他必要な医療と日常生活上の世話を行う介護保険施設です(介護保険法第8条第29項)。平成30年(2018年)4月に創設され、介護療養病床からの転換を中心に増えて、令和6年10月1日時点で917施設、在所者は52,837人になりました。医療の必要度に応じてⅠ型とⅡ型があり、医師・薬剤師・介護職員の配置基準と基本報酬が違います。令和7年8月からはⅡ型の多床室に室料負担(月額8千円相当)が入りました。
介護医療院とは
介護医療院は、介護保険法第8条第29項で、要介護者であって主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて「療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話」を行うことを目的とする施設と定められています。開設には都道府県知事の許可が必要です(同法第107条第1項)。
厚生労働省の資料は「医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設」と説明しています。介護保険の施設サービスとして、医療と介護に加えて生活の場(療養室・食堂・談話室・レクリエーション・ルーム)を備えることが省令で求められています(基準第5条)。
創設は平成30年4月で、介護療養病床(介護療養型医療施設)の受け皿として設けられました。令和6年4月1日時点の開設状況では、転換元の58.6%が病院の介護療養病床、11.1%が介護療養型老人保健施設、19.9%が医療療養病床(療養病棟入院料1・2)で、新設は5.8%です。
Ⅰ型とⅡ型の違い
介護医療院の療養床にはⅠ型とⅡ型があり、人員基準はⅠ型入所者とⅡ型入所者の数をそれぞれ別の係数で計算して合算し、基本報酬も療養床の型ごとに違います。
Ⅰ型
介護療養病床相当
- 重篤な身体疾患のある人や、身体合併症のある認知症高齢者が主な対象
- 医師は入所者48人に1人以上
- 介護職員は入所者5人に1人以上
Ⅱ型
老健相当以上
- Ⅰ型より容体が比較的安定した人が主な対象
- 医師は入所者100人に1人以上
- 介護職員は入所者6人に1人以上
令和6年4月1日時点の施設数は、Ⅰ型が600施設、Ⅱ型が319施設、Ⅰ型とⅡ型の混合が7施設で、療養床数の合計は53,183床(Ⅰ型37,568床、Ⅱ型15,615床)です。1つの施設の中にⅠ型とⅡ型の療養床を両方置くこともできます。
人員基準
職員の配置は「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(平成30年厚生労働省令第5号)第4条で定められています。入所者数は前年度の平均値で計算し、常勤換算方法を使います。
| 職種 | 配置基準(第4条第1項) |
|---|---|
| 医師 | Ⅰ型入所者48人に1人+Ⅱ型入所者100人に1人以上。3人に満たないときは3人 |
| 薬剤師 | Ⅰ型入所者150人に1人+Ⅱ型入所者300人に1人以上 |
| 看護職員(看護師・准看護師) | 入所者6人に1人以上 |
| 介護職員 | Ⅰ型入所者5人に1人+Ⅱ型入所者6人に1人以上 |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 実情に応じた適当数 |
| 栄養士または管理栄養士 | 入所定員100人以上の施設で1人以上 |
| 介護支援専門員 | 1人以上(入所者100人またはその端数を増すごとに1人が標準) |
医師は、宿直を置かない場合には入所者100人に1人以上とする別の定めがあります(同条第1項第1号のかっこ書き)。介護支援専門員は専従の常勤が原則です(同条第5項)。
施設・設備の基準
同基準第5条は、療養室・診察室・処置室・機能訓練室・談話室・食堂・浴室・レクリエーション・ルーム・洗面所・便所・サービス・ステーション・調理室・洗濯室・汚物処理室を備えることを求めています。主な数値は次のとおりです。
- 療養室: 1室の定員は4人以下、入所者1人あたりの床面積は8㎡以上。地階には設けない。ナース・コールを設ける
- 機能訓練室: 内法で40㎡以上(併設型小規模介護医療院は十分な広さ)
- 食堂: 内法で入所者1人あたり1㎡以上
- 浴室: 一般浴槽のほか、介助が必要な人向けの特別浴槽を設ける
療養室の「8㎡以上」は、後述する室料負担の対象を分ける基準にもなっています。
基本報酬と主な加算
厚生労働省の第260回介護給付費分科会資料(令和8年7月)によると、多床室の1日あたりの基本サービス費(例)は次のとおりです。
| 要介護度 | Ⅰ型(強化型A相当) | Ⅱ型 |
|---|---|---|
| 要介護1 | 833単位 | 786単位 |
| 要介護2 | 943単位 | 883単位 |
| 要介護3 | 1,182単位 | 1,092単位 |
| 要介護4 | 1,283単位 | 1,182単位 |
| 要介護5 | 1,375単位 | 1,261単位 |
正確な単位数は告示(指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準)で確認してください。主な加算には、在宅復帰を支援した場合の加算(在宅復帰率30%超等で10単位)、特別診療費(感染症防止体制6単位、理学療法73単位・123単位など)、栄養管理の強化(11単位/日)、認知症行動・心理症状の緊急受入(200単位/日)、協力医療機関との連携(Ⅰ 50単位/月、Ⅱ 5単位/月)、介護職員等処遇改善加算(Ⅳ 4.0%〜Ⅰロ 6.6%)があります。
施設数と利用の状況
介護医療院の数は、2つの統計で確認できます。
| 統計 | 時点 | 施設数 |
|---|---|---|
| 介護サービス施設・事業所調査 | 令和6年10月1日 | 917施設(前年791施設、+126、15.9%増) |
| 老健局老人保健課「開設状況」 | 令和6年4月1日 | 926施設(Ⅰ型600・Ⅱ型319・混合7) |
| 介護給付費等実態統計(請求事業所数) | 令和7年 | 918施設 |
令和6年の施設・事業所調査では、在所者は52,837人、1施設あたりの定員は58.2人、利用率は91.1%、経営主体は医療法人が87.8%です。収支差率は令和4年度0.4%、令和5年度4.2%、令和6年度3.5%と推移しています(第260回分科会資料)。
老健・特養との違い
介護保険の3つの施設サービスは、法律上の目的が違います。
| 施設 | 介護保険法の定義(第8条) | 主な役割 |
|---|---|---|
| 介護医療院 | 第29項。主として長期にわたり療養が必要な要介護者に、療養上の管理・看護・医学的管理の下の介護・機能訓練・必要な医療と日常生活上の世話を行う | 長期療養と生活 |
| 介護老人保健施設(老健) | 第28項。主として心身の機能の維持回復を図り、居宅で生活できるようにする支援が必要な要介護者に、看護・医学的管理の下の介護・機能訓練・必要な医療と日常生活上の世話を行う | 在宅復帰 |
| 介護老人福祉施設(特養) | 第27項。特別養護老人ホーム(定員30人以上)に入所する要介護者に、入浴・排せつ・食事等の介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理、療養上の世話を行う | 生活の場 |
- 特養生活の場
- 医療が増える
- 老健在宅復帰
- 長期療養へ
- 介護医療院医療と生活
老健との大きな違いは、介護医療院の定義に「主として長期にわたり療養が必要」という言葉があることです。老健は在宅復帰が前提の施設で、介護医療院は長く暮らす前提の施設です。特養の入所要件(原則要介護3以上)と人員基準は特別養護老人ホームの記事に、老健の施設類型(超強化型〜その他型)と在宅復帰の指標は介護老人保健施設の記事にまとめています。施設系の介護ソフトは3施設に共通する製品が多く、施設系向け介護ソフトの比較と施設の立場からの探し方で絞り込めます。
令和6年度改定と令和7年8月の室料負担
令和6年度介護報酬改定では、協力医療機関との連携体制の構築と定期的な会議の実施が介護医療院に求められました。協力医療機関を定める義務には令和9年3月31日までの経過措置があります。
令和7年8月1日からは、Ⅱ型介護医療院の多床室で、入所している療養室の1人あたり床面積が8㎡以上の人に「室料相当額控除」(▲26単位/日)が適用され、月額8千円相当の室料負担が入りました(介護保険最新情報Vol.1397)。対象施設は体制等状況一覧表などの届出が必要です。室料負担が入る人については、補足給付(特定入所者介護サービス費)の居住費の基準費用額が引き上げられており、利用者負担第1〜3段階の低所得の人は補足給付により負担が増えない仕組みです。
介護ロボットやICT等を活用した生産性向上の取り組みを評価する加算(Ⅰ 100単位/月、Ⅱ 10単位/月)も設けられています(第260回分科会資料)。導入費の補助は介護テクノロジー導入支援事業の記事にまとめました。
よくある質問
介護医療院と老健はどこが違いますか
介護保険法第8条の定義で、介護医療院(第29項)は「主として長期にわたり療養が必要である者」、介護老人保健施設(第28項)は「主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者」が対象です。老健は在宅復帰を目指す施設、介護医療院は長期の療養と生活を支える施設です。人員基準でも、介護医療院のⅠ型は医師を入所者48人に1人置くなど、医療の体制が手厚くなっています。
Ⅰ型とⅡ型はどう選ばれますか
Ⅰ型は介護療養病床相当、Ⅱ型は老健相当以上の基準で、厚生労働省の資料はⅡ型の主な利用者像を「Ⅰ型より比較的容体が安定した者」としています。どちらの療養床に入るかは、施設の体制と入所者の医療の必要度によります。1つの施設がⅠ型とⅡ型の両方の療養床を持つこともあります。
介護医療院は全国にいくつありますか
令和6年介護サービス施設・事業所調査(令和6年10月1日時点)では917施設です。老健局の開設状況(令和6年4月1日時点)では926施設、療養床は53,183床でした。統計により時点と集計方法が違います。
令和7年8月からの室料負担は誰が対象ですか
Ⅱ型介護医療院の多床室に入所していて、療養室の1人あたり床面積が8㎡以上の人です。室料相当額控除として▲26単位/日が適用され、月額8千円相当の室料負担が入ります(介護保険最新情報Vol.1397)。Ⅰ型の多床室は対象ではありません。
出典
- e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - e-Gov法令検索「介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/430M60000100005 - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第260回 資料3 介護医療院」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001720424.pdf - 厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service24/dl/gaikyo.pdf - 厚生労働省老健局老人保健課「介護医療院の開設状況について(令和6年10月29日)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001297390.pdf - 厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1397 令和7年8月からの室料相当額控除の適用について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001507306.pdf
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