見守りセンサーの選び方|方式の違い・連携・夜間巡視・プライバシーの確認点【2026年】

要点
見守りセンサー(見守り機器)は、居室の利用者の離床・転倒の兆候・睡眠・心拍や呼吸などを検知し、職員のスマートフォンや専用端末に知らせる機器です。方式は大きく、マットレスの下やベッドの脚に置くベッドセンサー、カメラやシルエット画像で動きを見るもの、カメラを使わない画像センサーなどに分かれ、方式によって分かることと、映像を扱うかどうかが違います。選ぶときは「何を検知したいか」を先に決め、ナースコール・介護記録ソフトとの連携、夜間の巡視の運用、個人情報の扱いの順に確かめます。
見守りセンサーとは(国の定義)
厚生労働省が公表している「介護テクノロジー利用の重点分野」(令和6年6月28日改訂)では、介護施設で使う見守り機器を「見守り・コミュニケーション(見守り(施設))」として定義しています。定義に挙がっている主な点は次のとおりです。
- 各種センサーや外部通信機能を備え、高齢者等の尊厳を保持しながら、複数の高齢者等を同時に見守れる
- 施設内の各所にいる職員へ同時に情報を共有できる
- 状態や状態の変化を検知して職員に知らせるほか、情報・データを蓄積できる
- 介護記録システムやケアプラン作成支援ソフト、LIFE(科学的介護情報システム)などと広く連携でき、データを活用できる
- 本人がボタンを押す・声を出すといった、自分から助けを求める行動だけに頼らない
- 昼夜を問わず使える
重点分野の全体像は 介護テクノロジーの重点分野とは にまとめています。
方式ごとに分かること
方式は「どこに置くか」と「何で捉えるか」で分かれます。下の表の「分かること」と製品の例は、掲載DBに載せている各製品の公開情報からまとめたものです。同じ方式でも検知できる項目は製品ごとに違うため、最終的には提供元の資料で確かめてください。
| 方式 | 置き方 | 主に分かること | 掲載製品の例 |
|---|---|---|---|
| ベッドセンサー(マット・シート型など) | マットレスの下に敷く、ベッドや布団に置く | 体動・離床。製品によって心拍・呼吸(バイタル)や入眠・覚醒 | ANSIEL・aams・AISH・Care-Top・ライブコネクト |
| ベッド脚・ベッド内蔵型 | ベッドの脚に付ける、ベッドに内蔵されている | 体動・離床。製品によって体重 | リコー みまもりベッドセンサーシステム・見守りケアシステム M-2R |
| カメラ型(赤外線カメラを含む) | 居室に設置する | 起き上がり・離床・転倒の兆候などを検知し、映像で様子を確かめられる | HitomeQ ケアサポート・見守りAIカメラ KaigoDX・みまもりCUBE・Mi-Ru |
| シルエット型 | ベッド脇に設置する | 動きをシルエット画像で捉え、離床や転倒の兆候を知らせる | シルエット見守りセンサ WOS-321 |
| カメラを使わないセンサー型 | 居室に設置する | 4Dイメージングセンサーで、カメラや身につける機器を使わずに転倒やベッドの状態を捉える | Vayyar Care |
| 居室センサー(人の動き・環境) | 居室に置く | 人の動きや温湿度などから生活リズムを把握する。製品によって映像センサーを組み合わせる | LASHIC 居室みまもりセンサー・LIFELENS |
| 複数のセンサーの組み合わせ | 赤外線センサーやマットセンサーなどを組み合わせる | 体動・脈拍・呼吸を居室ごとに一覧で表示する | 福祉の森 見守りシステム |
選び分けの目安は次のとおりです。
- 心拍・呼吸や睡眠まで知りたい: ベッドセンサーのうち、バイタルや睡眠の計測を公表している製品が候補になります
- 起き上がりの段階で気づきたい・訪室前に様子を見たい: カメラ型・シルエット型は、映像や画像で状態を確かめてから訪室を判断できます。その分、映像を扱うことへの配慮(後述)が要ります
- 映像を撮らずに転倒や離床を捉えたい: ベッドセンサーや、カメラを使わないセンサー型が候補になります
ベッドセンサー
マットレスの下やベッドの脚に置く
- 体動・離床。製品によって心拍・呼吸や睡眠も
- 映像を撮らない
カメラ型・シルエット型
映像や画像で動きを見る
- 起き上がりの段階で気づきたい、訪室前に様子を見たいとき
- 映像や画像で状態を確かめてから訪室を判断できる
- 映像を扱うことへの配慮が要る
カメラを使わない型
カメラや身につける機器を使わない
- 転倒やベッドの状態を捉える
- 映像を撮らない
「何を検知したいか」は利用者によって違います。全員に同じ方式を入れるのか、転倒リスクの高い人の居室から入れるのかも、この段階で決めておきます。
ナースコール・介護記録ソフトとの連携
見守りセンサーの通知は、単体の専用端末やアプリで受けるものと、ナースコールや介護記録ソフトとつながるものがあります。掲載DBでは、次のように連携先を公表している製品があります。
| 連携先 | 掲載DBの記載 |
|---|---|
| ナースコール | ANSIEL(ナースコール)、aams(ワイヤレスナースコール)、Care-Top(他社製ナースコール)、LIFELENS(ナースコール)など |
| 介護記録ソフト | ライブコネクト(CAREKARTE・ほのぼのNEXT・ワイズマン・Blue Ocean Note・ケア樹)、福祉の森 見守りシステム(福祉の森 介護記録システムへ自動記録)、LIFELENS(介護記録システム) |
| ナースコール・インカム・記録を1台に | ネオスケア(見守り・ナースコール・IPインカム・介護記録の機能を1台の端末に集約) |
連携で確かめたいのは次の3点です。
- いま施設で使っているナースコールと介護記録ソフトの製品名を伝え、つながるかを提供元に確認する(「連携あり」でも、つながるのは特定の製品だけのことがあります)
- 通知をどの端末で受けるか。専用端末か、職員のスマートフォンか、ナースコールの子機か。端末が増えると持ち歩く物が増えます
- 検知した内容が介護記録に自動で残るか、手で書き写すか
- 見守りセンサー離床・転倒の兆候など
- 通知
- 職員の端末専用端末・スマートフォン
- 記録
- 介護記録ソフト自動か、手で書き写すか
厚生労働省の生産性向上ガイドライン(施設系サービスの事例集)には、ナースコールの情報を記録システムに自動転記して記録業務を効率化した事例や、見守り支援システムとインカムを併せて使い夜間の訪室を効率化した事例が載っています。職員間の連絡の道具は 介護現場の連絡・情報共有ツールの選び方 を参照してください。
夜間の巡視の見直しとの関係
見守りセンサーを入れる目的として多いのが、夜間の定時巡視(決まった時刻に全室を回る見回り)の見直しです。ただし、国の制度でも「センサーがあるから訪室しない」とは扱っていません。
令和6年度介護報酬改定では、介護老人保健施設などについて、見守り機器等を導入した場合の夜間の人員配置基準の見直しが行われました(介護老人福祉施設などは令和3年度改定で先行)。その要件には、全ての利用者への見守りセンサーの導入、夜勤職員全員のインカム等の使用に加えて、次の「安全体制の確保」が含まれています。
- 利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担軽減を検討する委員会の設置
- 職員の十分な休憩時間の確保など、勤務・雇用条件への配慮
- 緊急時の体制整備
- 機器の不具合の定期チェック(メーカーとの連携を含む)
- 職員に対するテクノロジー活用の教育
- 夜間の訪室が必要な利用者に対する訪室の個別実施
また、導入後は少なくとも3か月以上試行し、夜勤職員をはじめ多職種が参加する委員会で、安全体制やケアの質、職員の負担軽減を確かめてから届け出る仕組みです。つまり、定時巡視をやめる場合でも、誰を個別に訪室するかを決め、機器の不具合に備えることが前提になっています。夜勤職員配置加算の0.9人・0.6人の要件と夜間の人員配置基準の緩和は、夜勤の人員配置と見守り機器で整理しています。
厚生労働省の効果測定事業(令和7年3月報告)では、21施設で見守り機器を活用した夜間見守りの実証を行い、夜勤職員1人1日(600分)あたりの「直接介護」と「巡回・移動」の合計時間が、介護老人福祉施設で22.3分、介護老人保健施設で24.1分減りました。一方、認知症対応型共同生活介護では「巡回・移動」の時間はほとんど変わらず、合計は60分増えています。同じ報告書では、見守り機器の検知があるたびに訪室し、それを定期巡視の代わりにしていた施設で、定期巡視の回数がかえって増えたと考えられる例も挙げています。機器を入れただけでは巡視は減らず、検知したときにどう動くかの運用ルールで結果が変わるということです。
- 22.3分減介護老人福祉施設「直接介護」と「巡回・移動」の合計
- 24.1分減介護老人保健施設「直接介護」と「巡回・移動」の合計
- 60分増認知症対応型共同生活介護合計。「巡回・移動」の時間はほとんど変わらず
見守り機器を使う加算(生産性向上推進体制加算)の要件は 生産性向上推進体制加算とは で説明しています。
個人情報・プライバシーへの配慮
見守りセンサーは、居室という私的な空間で利用者の状態を記録する機器です。導入前に次の点を決めておきます。
- 映像・音声も個人情報になる: 個人情報保護委員会・厚生労働省のガイダンスでは、「個人に関する情報」には映像や音声による情報も含まれるとしています。カメラ型で録画を残す場合は、見守りのための撮影・記録を利用目的に含めて掲示・説明しているかを確かめます
- 利用者の意向を確認する: 生産性向上推進体制加算の要件では、見守り機器の運用について事前に利用者の意向を確認し、その意向に応じて機器の使用を止めるなどの運用も認められるとされています。導入の説明と、使わない選択肢を用意しておきます
- 見られる人と保存期間を決める: ガイダンスは安全管理措置として、業務内容に応じて必要な範囲にだけアクセスできる仕組み、アクセス記録の保存などを挙げています。映像やデータを誰が見られるか、どれだけ残すかを決めます
- クラウドに保存する製品は委託先の確認を: 映像やデータを提供元のクラウドに保存する場合、ガイダンスは委託先の安全管理措置を確かめ、監督することを求めています。契約前に保存場所と管理方法を確認します
映像を扱わずに済む方式を選ぶことも、プライバシーへの配慮の一つです。方式の選択とあわせて検討します。
機器の使い方が利用者の行動を制限していないかを事業所で検討する場については、身体拘束適正化委員会の記事にまとめています。
導入前に確かめること(チェックリスト)
- 検知したいもの(離床・起き上がり・転倒・睡眠・心拍や呼吸)を利用者ごとに決めたか
- 方式(マット・ベッド脚・カメラ・シルエットなど)と、映像を扱うかどうかを決めたか
- 通知を受ける端末と、ナースコール・介護記録ソフトとのつながりを確認したか
- 全室に入れるか、一部の居室から始めるか。Wi-Fiなど通信環境の工事が要るか
- 夜間に誰を個別に訪室するか、検知したときに誰がどう動くかのルールを決めたか
- 利用者・家族への説明と、使わない選択肢を用意したか
- 料金の形(月額か買い切りか)と保守の範囲、試用できるかを確認したか
導入の費用は、都道府県の補助の対象になることがあります。補助の仕組みは 介護テクノロジー導入の補助金 を参照してください。
見守りセンサーの一覧
掲載している見守りセンサーを、選ぶための公開情報がそろっている順(採点方法)に並べています。スコアは機能の優劣ではありません。全製品は 見守り・センサーのカテゴリ で比べられます。
よくある質問
見守りセンサーとナースコールは何が違いますか?
ナースコールは利用者がボタンを押すなど、自分から呼ぶことで職員に知らせる設備です。見守りセンサーは、本人が呼ばなくても離床や転倒の兆候、心拍・呼吸などを検知して知らせます。国の重点分野の定義でも、本人が自分から助けを求める行動だけに頼らないことが挙げられています。両方をつなげて同じ端末で受けられる製品もあります。
カメラ型は利用者の同意がないと使えませんか?
映像は個人情報にあたるため、利用目的を示し、利用者・家族に説明したうえで使うのが前提です。生産性向上推進体制加算の要件でも、見守り機器の運用について事前に利用者の意向を確認し、意向に応じて使用を止めることも認められています。映像を扱いたくない場合は、マット型やカメラを使わないセンサー型を検討します。
見守りセンサーを入れれば夜間の巡視をやめられますか?
国の要件でも、見守り機器を使って夜間の体制を見直す場合に「夜間の訪室が必要な利用者に対する訪室の個別実施」や機器の不具合の定期チェックが求められています。厚生労働省の実証では、検知のたびに訪室する運用で巡視の回数がかえって増えた例も報告されています。定時巡視を減らすなら、誰を個別に訪室し、検知時にどう動くかを委員会などで決めてから切り替えます。
出典
- 厚生労働省「「介護テクノロジー利用の重点分野」について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634_00013.html - 厚生労働省「「介護テクノロジー利用の重点分野」の定義」(令和6年6月改訂)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001268136.pdf - 厚生労働省 老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf - 厚生労働省 老健局高齢者支援課「介護ロボット等による生産性向上の取組に関する効果測定事業 報告書」(令和7年3月)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001491508.pdf - 厚生労働省「介護サービス事業における生産性向上(業務改善)に資するガイドライン 施設系サービス(令和6年度改訂版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001545561.pdf - 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/iryoukaigo_guidance/
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