介護テクノロジー利用の重点分野とは|9分野16項目の定義と対応する機器【令和6年改訂】

要点
「介護テクノロジー利用の重点分野」は、厚生労働省と経済産業省が、開発と導入を支援する介護ロボット・ICTの範囲を示したものです。令和6年6月28日の改訂で「ロボット技術の介護利用における重点分野」から名前が変わり、機能訓練支援、食事・栄養管理支援、認知症生活支援・認知症ケア支援の3分野が加わって9分野16項目になりました。改訂後の重点分野は令和7年4月から運用され、介護テクノロジー導入支援事業では、重点分野に当てはまる介護ロボットが補助の対象に挙げられています。
介護テクノロジー利用の重点分野とは
厚生労働省と経済産業省は、平成24年(2012年)に「ロボット技術の介護利用における重点分野」を定め、平成26年(2014年)と平成29年(2017年)に改訂してきました。介護サービスの質の向上、職員の負担軽減、高齢者等の自立支援のために、この分野の介護ロボット等の開発・導入を支援しています。
令和6年の改訂時点の支援策として、次の事業が挙げられています。
- 経済産業省: 医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業(ロボット介護機器開発等推進事業)
- 厚生労働省: 介護テクノロジー導入支援事業、介護テクノロジー定着支援事業
重点分野を選ぶ基準は、次のとおりです。
- 高齢者等の自立支援、介護サービスの質の確保、介護者の負担軽減を実現するもの。ただし、医療機器としての開発が適当なものは対象にしない
- 介護現場のニーズや関心の高い分野であること
- 介護テクノロジーの活用が合理的な分野であること
重点分野は、科学技術や社会の変化に応じて適宜見直すとされています。
令和6年の改訂で変わったこと
| 時点 | 分野・項目の数 | 主な変更 |
|---|---|---|
| 平成29年(2017年)改訂 | 6分野13項目 | 介護業務支援の1分野と5項目を追加(それまでは5分野8項目) |
| 令和6年(2024年)改訂 | 9分野16項目 | 機能訓練支援、食事・栄養管理支援、認知症生活支援・認知症ケア支援の3分野を追加。名称を「介護テクノロジー利用の重点分野」に変更 |
- 令和6年6月改訂の時期6月28日。名称を「介護テクノロジー利用の重点分野」に変更
- 9分野16項目改訂後の範囲平成29年改訂では6分野13項目
- 3分野追加された分野機能訓練支援、食事・栄養管理支援、認知症生活支援・認知症ケア支援
- 令和7年4月改訂後の運用開始
あわせて、移乗支援(装着・非装着)、排泄支援(排泄予測・検知)、見守り・コミュニケーションの3項目、入浴支援、介護業務支援の定義が見直されました。排泄予測・検知、見守り(施設・在宅)、コミュニケーション、介護業務支援と、新しい3分野の定義には、介護記録システムやケアプラン作成支援ソフト、科学的介護情報システム(LIFE)など、ほかの機器・システムとの連携が書き込まれています。
9分野16項目の一覧
普及率は、厚生労働省が『令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査結果』から分野ごとに引用した数字です。新しい3分野は調査をしていないため、普及率がありません。
| 分野 | 項目 | 普及率 | 当サイトのカテゴリ |
|---|---|---|---|
| 移乗支援 | 装着、非装着 | 9.7% | 移乗支援 |
| 移動支援 | 屋外、屋内、装着 | 1.2% | 移動支援 |
| 排泄支援 | 排泄物処理、排泄予測・検知、動作支援 | 0.5% | 排泄支援 |
| 見守り・コミュニケーション | 見守り(施設)、見守り(在宅)、コミュニケーション | 30.0% | 見守り・センサー、コミュニケーションロボット |
| 入浴支援 | 入浴支援 | 11.2% | 入浴支援 |
| 介護業務支援 | 介護業務支援 | 10.2% | 介護ソフト、コミュニケーション |
| 機能訓練支援 | 機能訓練支援 | 調査なし | 機能訓練支援 |
| 食事・栄養管理支援 | 食事・栄養管理支援 | 調査なし | 食事・栄養管理 |
| 認知症生活支援・認知症ケア支援 | 認知症生活支援・認知症ケア支援 | 調査なし | 認知症ケア支援 |
分野ごとの定義と機器
定義は厚生労働省の「介護テクノロジー利用の重点分野定義」を短くまとめたものです。各分野の一覧は当サイトのカテゴリに掲載している製品の編集部スコア順で、重点分野への該当やTAISでの選定を示すものではありません。
移乗支援(装着・非装着)
ベッド・車いす・便器などの間の移乗を支える機器です。
- 装着: 介助者が身につけて、移乗介助のときの身体の負担を軽くする(パワーアシスト)。移乗の始めから終わりまで介助者1人で使え、1人で着脱できる
- 非装着: 介助者の力の全部または一部をアシストする。介助者1人で使え、土台の設置工事など住宅への据付け工事を伴わない。つり下げ式移動用リフトは除く
選び方は移乗支援機器の選び方で整理しています。
移動支援(屋外・屋内・装着)
- 屋外: 歩行車やシルバーカーなどの手押し車型で、モーター等が上り坂では押し、下り坂ではブレーキをかける。荷物を載せられ、4つ以上の車輪を持ち、介助者が持ち上げられる30kg以下の重さ。乗って移動するものは対象外
- 屋内: 椅子やベッドからの立ち上がりと、トイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支える歩行支援機器。乗って移動するものは対象外
- 装着: 本人が身につけ、転倒につながる動作を検知して知らせる、または立ち座りや歩行を支える
排泄支援(排泄物処理・排泄予測・検知・動作支援)
- 排泄物処理: 居室で使う便器で、においが広がらないよう排泄物を室外へ流すか、容器や袋に密閉する。室内で設置位置を調整できる
- 排泄予測・検知: 生体情報や温度・湿度などから、排泄前の予測または排泄後の検知を行い、トイレへの誘導や介助のタイミングを支える
- 動作支援: トイレ内での下衣の着脱など、排泄の一連の動作を支える
選び方は排泄支援機器の選び方で整理しています。
見守り・コミュニケーション
- 見守り(施設): センサーと外部通信機能で複数の高齢者を同時に見守り、施設内の職員へ同時に情報を共有する。状態の変化を検知して通知し、データを蓄積できる。介護記録システムやLIFE等と連携できる。本人がボタンを押す・声を出すといった行動だけに頼らず、昼夜を問わず使える
- 見守り(在宅): 在宅で状態の変化を検知し、家族や介護従事者へ通知する。本人が端末を持ち歩く・身につけることを必須としない
- コミュニケーション: 双方向の情報伝達で高齢者等のコミュニケーションを活発にし、自立支援や社会参加を促す機器・システム
令和8年3月の課長会議資料では、令和7年度の調査で、施設系サービスの見守り支援機器の導入割合が令和4年度の30%から47.2%に増えたとされています。選び方は見守りセンサーの選び方で整理しています。コミュニケーションの機器の定義と3つの型はコミュニケーションロボットの記事にまとめています。
入浴支援
入浴ケアや、浴槽への出入りの動作を支える機器です。本人が1人で、または介助者1人の支援で使えるものとされています。機器の種類、補助上限、入浴介助加算との関係は入浴支援機器とはで整理しています。
介護業務支援
介護業務に伴う情報を集めて蓄積し、リスクの予測・検知、ケア計画の作成、職員の教育・研修、記録・職員間のコミュニケーション、サービス提供などに活用する機器・システムです。
補助事業の資料では、介護記録ソフトはこの「介護業務支援」に当たるとされています(令和6年度補正予算の資料)。令和8年度の大阪府の補助では、介護業務支援にインカムも含めています。介護ソフトは介護ソフトの選び方、インカムなどのスタッフ間連絡は介護のコミュニケーションツールで扱っています。
機能訓練支援(令和6年に追加)
介護職等が行う身体機能・生活機能の訓練で、アセスメント・計画作成・訓練実施の一部または全体を支える機器・システムです。個別機能訓練加算との関係やソフトと機器の違いは機能訓練支援機器・ソフトの記事で整理しています。
食事・栄養管理支援(令和6年に追加)
次のどちらかの機器・システムです。
- 誤嚥の発生や誤嚥のリスクを検知して通知し、データを蓄積できるもの
- 食事の摂取内容などを把握してデータを蓄積し、低栄養など高齢者特有の課題を把握するもの
栄養管理ソフトに求める機能と栄養マネジメント強化加算との関係は栄養管理ソフトとはで整理しています。
認知症生活支援・認知症ケア支援(令和6年に追加)
認知機能が低下した高齢者等を支える機器・システムで、次のどちらかの機能を持つものです。
- 操作しやすい工夫や介助者への情報共有によって、日常生活の自立を支える(認知機能が低下した人の支援に特化したもの)
- 認知機能・生活環境・表情などの情報を集めて蓄積し、一人ひとりに合わせたケアを支える
関係する加算(認知症チームケア推進加算など)と機器の型は認知症ケア支援機器の記事で整理しています。
補助・加算との関係
- 介護テクノロジー導入支援事業: 令和7年度当初予算の資料では、重点分野に当てはまる介護ロボットが補助対象です(カタログ方式)。令和6年度補正予算の資料では、テクノエイド協会の福祉用具情報システム(TAIS)で「介護テクノロジー」として選定された機器は、原則として補助対象とされています。補助率や上限額は介護テクノロジー導入支援事業で整理しています
- 介護職員等処遇改善加算: 職場環境等要件の㉒に「介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)」の導入が入っています。詳しくは処遇改善加算の職場環境等要件と生産性向上へ
- 生産性向上推進体制加算: 見守り機器、インカム等、介護記録ソフト等の活用が要件です。詳しくは生産性向上推進体制加算へ
導入支援事業
補助の対象になる
- 重点分野に当てはまる介護ロボット(令和7年度当初の資料。カタログ方式)
- TAISで「介護テクノロジー」として選定された機器は原則として対象(令和6年度補正の資料)
介護職員等処遇改善加算
職場環境等要件の㉒
- 介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)の導入
生産性向上推進体制加算
機器の活用が要件
- 見守り機器、インカム等、介護記録ソフト等
よくある質問
「ロボット技術の介護利用における重点分野」とは別のものですか
同じものです。令和6年6月28日の改訂で、名前が「介護テクノロジー利用の重点分野」に変わりました。改訂後の内容で、令和7年4月から運用されています。
重点分野に当てはまらない機器は、補助の対象になりませんか
なる場合があります。令和6年度補正予算の資料では、重点分野に当たる機器のほかに、介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化に有効だと都道府県が判断した機器等も対象とされています。令和8年度の兵庫県の要綱では、スライディングボードやバイタル測定ができるウェアラブル端末が例に挙がっています。対象は都道府県の実施要綱で確認してください。
製品が重点分野に当たるかは、どこで確認できますか
テクノエイド協会の福祉用具情報システム(TAIS)で、「介護テクノロジー」として選定されているかを確認できます。当サイトの比較表では、TAISに掲載のある製品を絞り込めます。TAISコードの見方や調べ方はTAISとはで整理しています。
医療機器は重点分野の対象になりますか
重点分野の選定基準では、医療機器としての開発が適当なものは対象にしないとされています。
出典
- 厚生労働省「「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました」(令和6年6月28日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/juutenbunya_r6kaitei_00001.html - 厚生労働省・経済産業省「ロボット技術の介護利用における重点分野の改訂について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001268130.pdf - 厚生労働省「介護テクノロジー利用の重点分野の全体図と普及率」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001268135.pdf - 厚生労働省「介護テクノロジー利用の重点分野定義」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001268136.pdf - 厚生労働省「「介護テクノロジー利用の重点分野」について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634_00013.html - 厚生労働省「「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました」(平成29年10月12日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000180168.html - 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(令和7年度当初予算)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001476528.pdf - 厚生労働省「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業(令和6年度補正予算)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001596362.pdf - 厚生労働省「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和8年3月・高齢者支援課)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001669793.pdf - 大阪府「令和8年度大阪府介護テクノロジー導入支援事業(リーフレット)」
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/106656/tech-leaf.pdf - 兵庫県「介護業務における介護テクノロジー導入支援事業実施要綱」
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/documents/jisshiyoukoukakuteiban.pdf - 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具情報システム(TAIS)」
https://www.techno-tais.jp/
制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年9月26日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。









































