入浴支援機器(介護)とは|重点分野の定義・補助上限100万円・入浴介助加算との関係【2026年】

要点
入浴支援機器は、厚生労働省と経済産業省が定める「介護テクノロジー利用の重点分野」のひとつで、「高齢者等の清潔を保つことを目的とした入浴ケアや、浴槽への出入り動作を支援できる」機器と定義されています。本人が一人で使えるか、一人の介助者の支援の下で使えることが条件です。浴槽の中で座面が昇降するバスリフト、寝たまま入れる機械浴槽(特殊浴槽)、座ったままシャワーで全身を洗うシャワー型の入浴装置などがあり、入浴支援機器の普及率は11.2%と、見守り・コミュニケーション分野の30.0%に比べて低い水準です。この記事では、重点分野の定義と機器の種類、介護テクノロジー導入支援事業の補助上限(1機器100万円)、通所介護の入浴介助加算との関係、選ぶときの見方を厚生労働省の資料で整理します。
- 11.2%入浴支援機器の普及率見守り・コミュニケーションは30.0%
- 100万円補助上限(1機器あたり)介護テクノロジー導入支援事業
- 55単位/日入浴介助加算(Ⅱ)(Ⅰ)は40単位/日
入浴支援機器の定義
令和6年6月に改訂された「介護テクノロジー利用の重点分野」(9分野16項目)では、入浴支援を「入浴におけるケアや動作を支援する機器」とし、定義を次の2点で示しています。
- 高齢者等の清潔を保つことを目的とした入浴ケアや、浴槽への出入り動作を支援できる
- 高齢者等が一人で使用できる、または一人の介助者の支援の下で使用できる
本人が一人で使えるか、一人の介助者の支援の下で使えることが定義の条件です。重点分野の全体像と9分野の一覧は介護テクノロジー利用の重点分野とはで整理しています。
普及率は11.2%
厚生労働省の「介護テクノロジー利用の重点分野の全体図と普及率」(「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査結果」にもとづく)では、入浴支援の普及率は11.2%です。見守り・コミュニケーション(30.0%)、介護業務支援(10.2%)、移乗支援(9.7%)と比べると、移乗支援と同じくらいの水準で、見守り・コミュニケーションより大きく低い状態です。定義にあるとおり、入浴支援機器は一人の介助者の支援の下で使えることが条件なので、導入の目的は入浴介助にかかる職員の人数と負担を減らすことにあります。
入浴支援機器の種類
入浴支援機器は、どの動作を支えるかで分けて考えると選びやすくなります。
浴槽内の昇降
浴槽への出入りを支える
- 浴槽の中に座面を置き、電動で座面が昇降する(バスリフトなど)
- 既設の浴槽に設置できるものがある。個浴や在宅の浴室で使う
- 利用者が自分で、または介助者1人の支援で浴槽に入る
機械浴槽(特殊浴槽)
寝たまま・座ったまま入浴する
- ストレッチャーに移乗し、そのまま浴槽に入る
- 寝たきりの利用者や座位が保てない利用者が対象
- 施設の浴室に据え置いて使う
シャワー型の入浴装置
座ったままシャワーで洗う
- 利用者が椅子に座ったまま、周囲からシャワーで全身を洗う
- 浴槽に入らないため、出入りの移乗がない
- 入浴時間の短縮と介助者の負担軽減を目的にする
掲載DBに載っている入浴支援機器の多くは、価格が公式サイトに書かれておらず「要問い合わせ」です。価格が公開されていない製品は、浴室の条件を伝えて見積もりを取ることになります。バスリフトのように価格を公開し、介護保険の福祉用具貸与の対象にもなる製品もあります。
補助金:介護テクノロジー導入支援事業
都道府県が行う介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金)では、入浴支援は移乗支援とともに補助上限が高い区分です。令和7年度当初予算の国の資料では次のとおりです。
| 区分 | 補助上限(1機器あたり) |
|---|---|
| 移乗支援・入浴支援 | 100万円 |
| 上記以外の介護ロボット | 30万円 |
| 介護ソフトなどICT | 職員数に応じて100万円から250万円 |
令和6年度補正予算の介護テクノロジー導入・協働化等支援事業でも、移乗支援・入浴支援の上限は1機器あたり100万円です。補助を受ける要件には「第三者による業務改善支援又は研修・相談等による支援を受けること」があり、都道府県の介護生産性向上総合相談センターの業務改善支援を受けることがその一手になります。国の資料では補助率は3/4を下限(要件を満たさない場合は1/2を下限)としており、補助率や申請の流れは介護テクノロジー導入支援事業の補助金で整理しています。
- 都道府県の募集要項を読む入浴支援の区分、上限額、要件を確かめる
- 浴室の条件を伝えて見積もりを取る価格が公開されていない製品が多い
- 相談センターなど第三者の業務改善支援を受ける補助の要件のひとつ
- 交付申請して交付決定を受ける購入の時期の条件は都道府県の要綱で確かめる
- 導入して実績報告と効果の報告をする入浴介助の時間や人数の変化を記録しておく
通所介護の入浴介助加算との関係
通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護には入浴介助加算があり、令和6年度改定で単位数は(Ⅰ)40単位/日、(Ⅱ)55単位/日のまま、要件が見直されました。
| 加算 | 単位数 | 主な要件(令和6年度改定後) |
|---|---|---|
| 入浴介助加算(Ⅰ) | 40単位/日 | 入浴介助を適切に行える人員・設備があること。入浴介助に関わる職員に入浴介助に関する研修等を行うこと(令和6年度に追加) |
| 入浴介助加算(Ⅱ) | 55単位/日 | (Ⅰ)の要件に加えて、医師等が利用者の居宅を訪問して浴室の動作と環境を評価し、本人や家族の介助で入浴するのが難しい環境の場合は環境整備の助言をすること。個別の入浴計画を作り、個浴または利用者の居宅に近い環境で入浴介助を行うこと |
入浴支援機器そのものは加算の要件ではありません。ただし(Ⅱ)の「利用者の居宅の状況に近い環境」は、手すりの位置や浴槽の深さ・高さに合わせて事業所の浴室に福祉用具等を設置して居宅の浴室を再現するものとされており、浴槽内の昇降機器や手すりがここで使われます。居宅訪問は、医師等の訪問が難しい場合に介護職員が訪問し、ICT機器を使って医師等が評価・助言する方法も令和6年度から認められています。
選ぶときの見方
- 誰を対象にするか:自分で浴槽に出入りできる人の見守りを減らしたいのか、寝たきりの人の入浴を1人介助にしたいのかで、昇降型と機械浴槽のどちらかが決まります
- 浴室の条件:据え置き型の機械浴槽と、既設の浴槽に置く昇降型で、設置の条件が違います。製品ごとの設置条件を浴室に当てて確かめます
- 介助の手順:機器を入れると移乗の回数や職員の配置が変わります。導入前に入浴1件あたりの時間と人数を測っておくと、補助金の効果報告にも使えます
- 保守:浴室の機器は水と洗剤にさらされるので、点検と消耗品の交換費用を見積もりに含めます
入浴支援機器の一覧
入浴支援のカテゴリに掲載している製品です。掲載DBの編集部スコア順で表示しています。
一覧は入浴支援機器比較一覧で、移乗を支える機器は移乗支援機器比較一覧で見られます。施設向けのツール全体は介護施設向けのツール、通所介護向けは通所介護向けのツールにまとめています。施設系で機器の導入とあわせて生産性向上推進体制加算を取る場合の要件は生産性向上推進体制加算の要件で整理しています。
よくある質問
入浴支援機器は補助金でいくらまで出ますか
介護テクノロジー導入支援事業(令和7年度当初予算)の国の資料では、移乗支援・入浴支援の補助上限は1機器100万円で、補助率は3/4を下限(要件を満たさない場合は1/2を下限)、補助台数は必要台数とされています。実際の補助率と台数は都道府県の実施要綱で決まるので、都道府県の募集要項で確かめてください。
在宅で使う入浴支援機器は介護保険の対象になりますか
浴槽の中で座面が昇降する機器の中には、介護保険の福祉用具貸与の対象になる製品があります。対象かどうかは製品ごとに違うので、福祉用具専門相談員かケアマネジャーに確かめてください。福祉用具の情報は福祉用具事業者向けのツールで整理しています。
入浴介助加算(Ⅱ)を取るには機器が要りますか
入浴介助加算(Ⅱ)の要件は、医師等による居宅の浴室の評価(入浴が難しい環境の場合は環境整備の助言)、個別の入浴計画、個浴または居宅に近い環境での入浴介助で、特定の機器の導入は要件ではありません。ただし居宅の浴室を再現するために、事業所の浴室に手すりや昇降機器などの福祉用具等を設置することは要件の一部として示されています。
普及率11.2%はどの調査の数字ですか
厚生労働省の「介護テクノロジー利用の重点分野の全体図と普及率」に載っている数字で、「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査結果」にもとづいています。調査の時点から時間が経っているので、現在の普及率はこれより変わっている可能性があります。
出典
- 厚生労働省「「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂しました」(令和6年6月28日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/juutenbunya_r6kaitei_00001.html - 厚生労働省「介護テクノロジー利用の重点分野定義」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001268136.pdf - 厚生労働省「介護テクノロジー利用の重点分野の全体図と普及率」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001268135.pdf - 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(令和7年度当初予算)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001476528.pdf - 厚生労働省「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業(令和6年度補正予算)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001596362.pdf - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001230329.pdf - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38790.html
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