処遇改善加算の職場環境等要件「生産性向上」とは|必要な取組数とICTで満たせる項目【令和8年度】

要点
介護職員等処遇改善加算の職場環境等要件は6区分28項目で、このうち「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」は⑰〜㉔の8項目です。令和8年度の通知では、加算Ⅰ・Ⅱ(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロを含む)は8項目のうち3項目以上(⑰か⑱は必須)、加算Ⅲ・Ⅳは2項目以上を実施する必要があります。ICTや介護テクノロジーの導入がそのまま当てはまるのは、介護ソフト・情報端末の㉑と、介護ロボット・インカム等の㉒で、生産性向上推進体制加算を算定している事業所はこの区分を満たすものとされます。
職場環境等要件とは
処遇改善加算を算定する事業所は、通知の別紙1表4に並ぶ職場環境の改善の取組を実施する必要があります。これが職場環境等要件です。表4は6区分28項目で、区分ごとに必要な取組数が決まっています。
| 区分 | 項目 | 加算Ⅰ・Ⅱ | 加算Ⅲ・Ⅳ |
|---|---|---|---|
| 入職促進に向けた取組 | ①〜④ | 2以上 | 1以上 |
| 資質の向上やキャリアアップに向けた支援 | ⑤〜⑧ | 2以上 | 1以上 |
| 両立支援・多様な働き方の推進 | ⑨〜⑫ | 2以上 | 1以上 |
| 腰痛を含む心身の健康管理 | ⑬〜⑯ | 2以上 | 1以上 |
| 生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組 | ⑰〜㉔ | 3以上(⑰か⑱は必須) | 2以上 |
| やりがい・働きがいの醸成 | ㉕〜㉘ | 2以上 | 1以上 |
加算Ⅰ・Ⅱの欄には、令和8年度に新しくできた加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロも含まれます。
- 各項目に並んでいる取組は、1つ以上実施すればその項目を満たします(Q&A 問7-2)
- 前年度から続けて算定する場合は、これまでの取組を続けていればよく、毎年新しい取組を加える必要はありません(Q&A 問7-1)
- 加算Ⅰ・Ⅱを算定する場合は、実施した項目と具体的な内容を、介護サービス情報公表制度の「事業所の特色」欄に書いて公表します。公表制度の対象でない場合は、ホームページなどで外から見える形で公表します。令和8年度の加算率と提出期限は処遇改善加算 令和8年度の記事、公表制度の報告とログインは介護サービス情報公表システムの記事にまとめています
生産性向上の8項目とICT・介護テクノロジー
表4の「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の8項目です。内容は通知の文言を短くまとめています。
| 項目 | 内容 | ICT・テクノロジーとの関わり |
|---|---|---|
| ⑰ | 生産性向上ガイドラインに基づく業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等) | 体制づくりの項目 |
| ⑱ | 現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等) | 体制づくりの項目 |
| ⑲ | 5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)等の実践による職場環境の整備 | — |
| ⑳ | 業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減 | — |
| ㉑ | 介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入 | 介護ソフト・タブレット・スマートフォン |
| ㉒ | 介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)またはインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入 | 見守り機器などの介護ロボット、インカム、ビジネスチャット |
| ㉓ | 業務内容の明確化と役割分担。間接業務は介護助手等の活用や外注で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う | — |
| ㉔ | 各種委員会の共同設置、指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善 | 共同のICTインフラ・システムの共通化を含む |
機器やソフトの導入がそのまま項目になっているのは㉑と㉒です。㉑の介護ソフトには「記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの」という条件が付いています。
取組数の数え方
- 加算Ⅲ・Ⅳ: 2項目以上。㉑と㉒の両方を導入すれば2項目になります
- 加算Ⅰ・Ⅱ: 3項目以上で、そのうち⑰か⑱が必須です。機器の導入(㉑㉒)だけでは足りず、生産性向上ガイドラインに基づく体制づくり(⑰)か、業務時間調査などの課題の見える化(⑱)が要ります。たとえば⑰+㉑+㉒で3項目です
加算Ⅰ・Ⅱ
3項目以上
- ⑰か⑱のどちらかが必須
- 機器の導入(㉑㉒)だけでは足りない
- 例: ⑰+㉑+㉒で3項目
- Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロを含む
- 実施した項目と内容を公表する
加算Ⅲ・Ⅳ
2項目以上
- ㉑と㉒の両方を導入すれば2項目
- 訪問看護等が使う加算Ⅳに準ずる要件も2項目以上
取組の参考には、Q&A(問7-5)で介護分野における生産性向上ポータルサイトが案内されています。
この区分を満たしたとみなされる場合
通知では、次の2つの場合に「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」の要件を満たすものとしています。
- 生産性向上推進体制加算を算定している場合: 加算(Ⅰ)・(Ⅱ)の要件と使う機器は生産性向上推進体制加算で整理しています
- 小規模事業者が㉔を実施している場合: 1法人あたり1つの施設・事業所だけを運営する法人などの小規模事業者は、協働化の取組(㉔)を実施していれば満たします
令和8年度の変更点:上乗せ区分と特例要件
令和8年度は期中の介護報酬改定(改定率+2.03%)が行われ、処遇改善加算が次のように広がりました。
- 介護従事者を対象に月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置として、加算の対象を介護職員から介護従事者に広げ、加算率を引き上げ
- 生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に、月0.7万円(2.4%)の上乗せ。加算Ⅰロ・Ⅱロとして新設
- 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に処遇改善加算を新設
- +2.03%改定率期中の介護報酬改定
- 月1.0万円介護従事者の賃上げ3.3%。加算の対象を介護従事者に広げ、加算率を引き上げ
- 月0.7万円上乗せ(Ⅰロ・Ⅱロ)2.4%。生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員が対象
上乗せの加算Ⅰロ・Ⅱロを算定するには「令和8年度特例要件」を満たす必要があります。使える取組はサービスによって違います。
| サービス(別紙1の表) | 令和8年度特例要件で使える取組 |
|---|---|
| 訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、訪問入浴介護、通所介護、地域密着型通所介護、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護(表1-2) | ケアプランデータ連携システムの利用 |
| 小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護(表1-3) | ケアプランデータ連携システムの利用、または生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定 |
| 特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院(表1-4) | 生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)の算定 |
どのサービスも、所属する法人が社会福祉連携推進法人に入っていれば特例要件を満たします。ケアプランデータ連携システムは、加入するだけでなく利用することが必要で、実績報告書に利用実績を書きます(Q&A 問8-2)。システムの中身はケアプランデータ連携システムで扱っています。
申請の時点で未達でも、次の誓約で算定できる扱いがあります。
- 特例要件: ケアプランデータ連携システムへの加入・利用、または生産性向上推進体制加算の算定を誓約すれば、申請時点から満たすものとして扱われます
- 職場環境等要件: 申請時点で特例要件を満たす事業所は、令和9年3月末までに取組を行うと処遇改善計画書で誓約すれば、申請時点から満たすものとして扱われます。誓約した場合は期限までに取り組み、実績報告書で報告します
令和8年度特例要件は、基本的に令和8年6月以降の算定にかかる要件です(Q&A 問8-3)。一律の資料提出は求めないとされていますが、ケアプランデータ連携システムの送受信の記録がわかる画面のスクリーンショットや体制届出などの根拠資料を用意し、指定権者から求められたら提出できるよう2年間保存します(Q&A 問8-4)。
新たに対象になった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援等(表1-5)は、特例要件(ケアプランデータ連携システムの利用か、社会福祉連携推進法人への所属)か、加算Ⅳに準ずる要件のどちらかで算定します。加算Ⅳに準ずる要件の職場環境等要件では、生産性向上の区分は2項目以上です。
サービス・区分ごとの加算率と、1月あたりの総単位数から月額・年額の見込みを出す方法は処遇改善加算の計算ツールにまとめています。
㉑㉒に当たるツールのカテゴリ
一覧は掲載DBの編集部スコア順です。導入する製品が各項目の文言に当てはまるかは、通知の別紙1表4で確認してください。
介護ソフト(㉑)
選び方は介護ソフトの選び方で整理しています。
見守り機器(㉒)
インカム・スタッフ間の連絡(㉒)
移乗支援・排泄支援・入浴支援などの介護ロボットの分野は介護テクノロジー利用の重点分野、導入費用の補助は介護テクノロジー導入支援事業を参照してください。
よくある質問
毎年、新しい取組を追加する必要がありますか
ありません。前年度から続けて処遇改善加算を算定する場合、職場環境等要件はこれまでの取組を続けていれば満たします(Q&A 問7-1)。
項目に並んでいる取組は全部実施する必要がありますか
ありません。1つの項目に列挙されている取組のうち、1つ以上を実施すればその項目を満たします(Q&A 問7-2)。
介護ソフトとインカムを入れれば、生産性向上の区分は満たせますか
加算Ⅲ・Ⅳは2項目以上なので、㉑と㉒で満たします。加算Ⅰ・Ⅱは3項目以上で⑰か⑱が必須のため、体制づくり(⑰)か課題の見える化(⑱)をあわせて実施する必要があります。生産性向上推進体制加算を算定していれば、この区分は満たすものとされます。
出典
- 厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日 老発0313第6号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675724.pdf - 厚生労働省「(別紙1)表1〜表4」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001681254.pdf - 厚生労働省「令和8年度介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675711.pdf - 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html - 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf - 厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト」
https://www.mhlw.go.jp/kaigoseisansei/index.html
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