福祉用具専門相談員とは|資格要件(8資格か指定講習53時間)、配置基準2人以上、業務、人数【2026年】

要点
福祉用具専門相談員とは、介護保険の福祉用具貸与・特定福祉用具販売で、利用者の希望・心身の状況・置かれている環境を踏まえて福祉用具を選び、自立支援の観点から使い方を含めて適合・助言を行う専門職です。介護保険法施行令第4条が、福祉用具貸与・販売を「福祉用具専門相談員から助言を受けて行われる貸与又は販売」と定め、なれる人を保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士と、都道府県知事が指定する講習(福祉用具専門相談員指定講習)の修了者に限っています。指定講習は令和7年4月1日から53時間(それまでは50時間)で、修了時に筆記の修了評価があります。福祉用具貸与事業所・特定福祉用具販売事業所には常勤換算で2人以上を置かなければならず、福祉用具貸与計画の作成・説明・交付、モニタリングと介護支援専門員への報告が相談員の仕事です。厚生労働省の資料では、令和6年10月1日時点の従事者は35,861人で、84%が講習の修了者、事業所あたりの常勤従事者は4.6人です。
- 8資格講習なしでなれる国家資格または指定講習の修了
- 53時間指定講習の時間令和7年4月1日から。旧50時間
- 2人以上事業所の配置基準常勤換算。貸与・販売とも
- 6月以内選択制の福祉用具のモニタリング開始から少なくとも1回
- 35,861人従事者数令和6年10月1日時点
福祉用具専門相談員とは:法令上の位置づけ
福祉用具専門相談員は、介護保険法施行令第4条第1項で定義されています。介護保険法第8条第12項・第13項は、福祉用具貸与・特定福祉用具販売を「政令で定めるところにより行われる」貸与・販売としており、その政令が施行令第4条です。同条は、福祉用具の選定にあたって「福祉用具に関する専門的知識に基づく助言」を行う人を福祉用具専門相談員と呼び、その助言を受けて行われるものだけが介護保険の福祉用具貸与・販売になると定めています。つまり、福祉用具専門相談員がいなければ、介護保険の給付の対象になる貸与・販売はできません。
厚生労働省の「福祉用具・住宅改修」のページは、福祉用具専門相談員を「介護が必要な高齢者が福祉用具を利用する際に、本人の希望や心身の状況、その置かれている環境等を踏まえ、専門的知識に基づいた福祉用具を選定し、自立支援の観点から使用方法等を含めて適合・助言を行う専門職」と説明しています。
福祉用具貸与の制度(対象種目・全国平均貸与価格・選択制)と、事業所の計画・請求の流れは、福祉用具貸与のソフトの記事にまとめています。この記事では、相談員の資格・配置・業務に絞ります。
資格要件:8つの国家資格か、指定講習の修了
介護保険法施行令第4条第1項は、福祉用具専門相談員になれる人を次の9号で列挙しています。
国家資格を持つ人
講習なしでなれる
- 保健師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 義肢装具士
指定講習の修了者
講習の課程を修了し、修了証明書の交付を受けた人
- 都道府県知事が指定する「福祉用具専門相談員指定講習」
- 令和7年4月1日から53時間
- 全科目の修了時に筆記の修了評価(1時間程度)
国家資格を持つ人は講習を受けなくても相談員になれます。それ以外の人は、都道府県知事が指定した事業者が行う指定講習を修了し、修了証明書(介護保険法施行規則の様式第十二号)の交付を受けます。なお、第259回介護給付費分科会資料によると、平成27年度に相談員の要件が見直され、介護職員基礎研修課程・ホームヘルパー1級課程・2級課程の修了者と介護職員初任者研修課程の修了者は、要件から除外されました。これらの研修だけでは相談員になれません。
講習を行う事業者の指定は、都道府県の区域ごとに都道府県知事が行います(施行令第4条第2項)。講習は年1回以上開催し、内容は厚生労働大臣が定める内容以上で、講義と演習で行います(施行規則第22条の31・第22条の33)。
指定講習のカリキュラム:令和7年4月から53時間
指定講習の内容は厚生労働大臣の告示で定められています。令和7年厚生労働省告示第113号で全部改正され、令和7年4月1日から適用されました。合計時間は50時間から53時間に増え、「福祉用具の安全利用とリスクマネジメント」の科目が新設され、講義に加えて演習を行う時間が増えています(第259回介護給付費分科会資料7)。改正前の内容で行う講習は、令和8年3月31日までに終わるものに限って認められています。
厚生労働省の通知「福祉用具専門相談員について」(最終改正 令和7年4月4日)の別紙1に示されている科目と時間は次のとおりです。
| 区分 | 科目 | 時間 |
|---|---|---|
| 1. 福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 | 福祉用具の役割 | 1 |
| 福祉用具専門相談員の役割と職業倫理 | 1 | |
| 2. 介護保険制度等に関する基礎知識 | 介護保険制度等の考え方と仕組み | 2 |
| 介護サービスにおける視点 | 2 | |
| 3. 高齢者と介護・医療に関する基礎知識 | からだとこころの理解 | 6.5 |
| リハビリテーション | 2 | |
| 高齢者の日常生活の理解 | 2 | |
| 介護技術(講義・演習) | 4 | |
| 住環境と住宅改修(講義・演習) | 2 | |
| 4. 個別の福祉用具に関する知識・技術 | 福祉用具の特徴(講義・演習) | 8 |
| 福祉用具の活用(講義・演習) | 8 | |
| 福祉用具の安全利用とリスクマネジメント(講義・演習) | 1.5 | |
| 5. 福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識及び支援に関する総合演習 | 福祉用具の供給とサービスの仕組み | 3 |
| 福祉用具による支援プロセスの理解・福祉用具貸与計画等の作成と活用(講義・演習) | 10 | |
| 合計 | 53 |
全科目の修了時には、別紙1の「到達目標」に沿って知識・技術の修得度を評価する修了評価があります。筆記の方法で1時間程度行い、この時間はカリキュラムの53時間には含まれません。修得が不十分な受講者には補講等を行うとされています。講師は1つの講習につき3名以上で、演習は講師1名につき受講者がおおむね50名を超えない程度とされています。
- 都道府県知事が指定した講習を受ける53時間。講義と演習
- 修了評価を受ける筆記で1時間程度。到達目標に沿って評価
- 修了証明書の交付を受ける施行規則の様式第十二号
- 福祉用具貸与・販売事業所に配置される事業所は常勤換算で2人以上を置く
配置基準:事業所ごとに常勤換算で2人以上
指定居宅サービス等基準(平成11年厚生省令第37号)第194条第1項は、指定福祉用具貸与事業所ごとに置くべき福祉用具専門相談員の員数を「常勤換算方法で、二以上」と定めています。特定福祉用具販売の事業所も同じく常勤換算で2人以上です(第208条第1項)。特定福祉用具販売、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売のいずれかを同じ事業所で一体的に運営する場合は、それぞれの基準を満たしていれば、この基準も満たしているものとみなされます(第194条第2項)。
| 事業 | 福祉用具専門相談員 | 管理者 | 設備 |
|---|---|---|---|
| 指定福祉用具貸与(第194条〜第196条) | 常勤換算で2人以上 | 専従・常勤(管理上支障がなければ兼務できる) | 福祉用具の保管・消毒に必要な設備・器材と、運営に必要な広さの区画(保管・消毒を他の事業者に委託する場合は不要) |
| 指定特定福祉用具販売(第208条〜第210条) | 常勤換算で2人以上 | 専従・常勤(同上) | 運営に必要な広さの区画 |
福祉用具貸与事業所は営利法人(会社)が94.9%を占め(令和6年介護サービス施設・事業所調査)、1事業所あたりの常勤従事者は4.6人です(第259回介護給付費分科会資料7、令和6年10月1日時点)。
業務:計画の作成からモニタリング・報告まで
福祉用具専門相談員の業務は、指定居宅サービス等基準第199条(具体的取扱方針)と第199条の2(福祉用具貸与計画の作成)に定められています。
| 場面 | 相談員がすること | 条文 |
|---|---|---|
| 選定 | 福祉用具貸与計画に基づき、専門的知識に基づいて相談に応じる。目録等の文書を示して機能・使用方法・利用料・全国平均貸与価格等の情報を提供し、個別の福祉用具の貸与について同意を得る。同一種目で機能や価格帯の異なる複数の福祉用具の情報を提供する | 第199条第1号・第9号 |
| 選択制の対象福祉用具 | 貸与と販売のいずれかを選べることを十分に説明したうえで、医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護支援専門員など関係者の意見と利用者の身体の状況等を踏まえて提案する | 第199条第2号 |
| 貸与時 | 福祉用具の機能・安全性・衛生状態を点検し、利用者の身体の状況等に応じて調整する。使用方法・使用上の留意事項・故障時の対応等を文書で交付して説明し、必要に応じて使用方法を指導する | 第199条第3号・第4号 |
| 貸与中 | 利用者等からの要請等に応じて使用状況を確認し、必要な場合は使用方法の指導・修理等を行う | 第199条第5号 |
| 計画 | 目標・具体的なサービスの内容・モニタリングを行う時期等を記載した福祉用具貸与計画を作成する。既に居宅サービス計画があれば、その内容に沿って作る。利用者・家族に説明して同意を得、利用者と介護支援専門員に交付する | 第199条の2第1項〜第4項 |
| モニタリング | 計画の作成後にモニタリングを行う。選択制の対象福祉用具は、開始時から6月以内に少なくとも1回行い、継続の必要性を検討する。結果を記録し、居宅介護支援事業者に報告する。必要に応じて計画を変更する | 第199条の2第5項〜第7項 |
福祉用具貸与計画の記載事項に「モニタリングを行う時期」が加わったこと、モニタリングの結果を記録して介護支援専門員に交付することが義務になったこと、選択制の対象福祉用具(固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖)で6月以内に少なくとも1回モニタリングを行うことは、いずれも令和6年度介護報酬改定で決まったものです(「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」)。選択制の対象になった福祉用具の提案では、ケアマネジャーだけでなく相談員も説明と提案の主体になります。
福祉用具貸与計画などの記録は、完結の日から2年間保存します(第204条の2)。サービス種別ごとの保存期間は介護記録の保存期間の記事にまとめています。事業者は相談員に福祉用具に関する適切な研修の機会を確保し、相談員は常に自己研鑽に励むよう努めることも定められています(第201条)。
- 福祉用具専門相談員計画を作り説明・同意
- 計画を交付
- 介護支援専門員居宅サービス計画と照合
- 6月に1回以上
- 福祉用具専門相談員モニタリングを記録
- 結果を報告
- 介護支援専門員計画の見直しに反映
人数と資格の内訳
第259回介護給付費分科会資料7(令和8年6月29日)によると、福祉用具専門相談員の従事者数は令和6年10月1日時点で35,861人です。資格の内訳(複数回答、資格の状況が不詳の人を除く)は次のとおりです。
| 資格 | 割合 |
|---|---|
| 指定講習会の修了者 | 84%(資料では「8割強」) |
| 介護福祉士 | 11% |
| その他の有資格専門職 | 5%(社会福祉士1.8%、理学療法士1.1%、看護師0.7%、義肢装具士0.5%、准看護師0.4%、作業療法士0.4%、保健師0.1%) |
事業所あたりの従事者数は平成23年の3.5人から令和6年の4.6人へ増えています。一方、福祉用具貸与の事業所数は令和6年10月1日時点で7,736事業所(前年比94減、1.2%減)、特定福祉用具販売は7,605事業所(前年比113減、1.5%減)です(令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況)。
令和9年度改定に向けた論点
第259回介護給付費分科会資料7は、福祉用具・住宅改修の論点として「選択制の運用のあり方や上限価格の仕組みの検討に加え、福祉用具を利用者に適時・適切に提供するという観点から、どのような方策が考えられるか」を挙げています。相談員に関わる現状として、選択制の対象種目で購入が選ばれた割合は固定用スロープが最も高く(令和6年度15.2%、令和7年4〜6月7.5%)、歩行器が最も低い(令和6年度1.6%、令和7年4〜6月1.2%)こと、モニタリングはおおむね4〜6か月以内に利用者一律の期間を定めて実施している事業所が多いことが示されています。また、資料7に再掲された「福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」の取りまとめ(令和5年11月8日)では、サービスの質の向上の項目で、現に従事している相談員への研修機会の確保が挙げられています。これらは2026年10月29日時点の論点で、改定内容として決まったものではありません。改定のスケジュールは令和9年度介護報酬改定の記事にまとめています。
住宅改修の対象工事と申請の流れは介護保険の住宅改修の記事で説明しています。
相談員の業務を支える介護ソフト
福祉用具貸与計画の作成、モニタリングの記録と介護支援事業者への報告、全国平均貸与価格の提示、貸与と販売の両方の計画の一体的な管理は、福祉用具貸与に対応した介護ソフトで扱う業務です。対応製品は福祉用具貸与向け介護ソフトの比較と福祉用具貸与の立場からの探し方で絞り込めます。ケアマネジャーとの予定・実績のやり取りをデータで行う仕組みはケアプランデータ連携システムの記事で説明しています。
よくある質問
福祉用具専門相談員は国家資格ですか
国家資格ではありません。介護保険法施行令第4条が定める要件を満たす人の呼び名で、保健師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・義肢装具士の国家資格を持つ人か、都道府県知事が指定する講習を修了した人がなれます。
指定講習は何時間ですか。試験はありますか
令和7年4月1日から53時間です(それまでは50時間)。全科目の修了時に、筆記の方法で1時間程度の修了評価があり、この時間は53時間に含まれません。修得が不十分な場合は補講等が行われます。改正前の50時間の内容で行う講習は、令和8年3月31日までに終わるものに限って認められています。
福祉用具専門相談員は何人必要ですか
指定福祉用具貸与事業所・指定特定福祉用具販売事業所とも、事業所ごとに常勤換算で2人以上です(指定居宅サービス等基準第194条・第208条)。貸与と販売、介護予防の貸与・販売を同じ事業所で一体的に運営する場合は、それぞれの基準を満たしていればこの基準も満たしているものとみなされます。
ホームヘルパー2級や介護職員初任者研修の修了者はなれますか
なれません。厚生労働省の第259回介護給付費分科会資料によると、平成27年度の見直しで、介護職員基礎研修課程・1級課程・2級課程の修了者と介護職員初任者研修課程の修了者は要件から除外されました。指定講習を修了するか、介護福祉士などの資格を取る必要があります。
出典
- e-Gov法令検索「介護保険法施行令(平成10年政令第412号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/410CO0000000412 - e-Gov法令検索「介護保険法(平成9年法律第123号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - e-Gov法令検索「介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100036 - e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037 - 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html - 厚生労働省「福祉用具専門相談員について」(老振発第0331011号、最終改正 令和7年4月4日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001506173.pdf - 厚生労働省「介護保険法施行規則第二十二条の三十三第二号の規定に基づき厚生労働大臣が定める講習の内容の全部を改正する件」(令和7年厚生労働省告示第113号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001506171.pdf - 厚生労働省「福祉用具専門相談員指定講習の新カリキュラムの適用開始時期について」(事務連絡、令和7年1月8日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001506178.pdf - 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料7 福祉用具・住宅改修」(令和8年6月29日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716098.pdf - 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」(令和5年12月19日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001180845.pdf - 厚生労働省「令和6年介護サービス施設・事業所調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service24/dl/gaikyo.pdf
制度・料金・製品の情報は変わることがあります。記事は2026年10月29日時点の公開情報にもとづきます。手続きの前に、出典の原文と自治体・提供元の最新の案内をご確認ください。誤りに気づいた方はお問い合わせからお知らせください。



