訪問看護のAI活用|記録書・計画書・報告書のどこに使えるかと導入前の確認【2026年】
介護ツールナビ編集部公開 更新

要点
訪問看護のAI活用は、訪問看護記録書Ⅱ・訪問看護計画書・訪問看護報告書の下書きを、話した内容や入力したメモからAIに作らせ、看護師等が内容を確かめて確定する使い方が中心です。書類を作る人は通知で「看護師等(准看護師を除く)」と決まっていて、AIが作るのはあくまで下書きです。導入前には、①利用者の病歴などの要配慮個人情報をAIに入れてよい契約になっているか、②誰がどの時点で内容を確かめて確定するか、③主治医への提出(書面か、電子署名を施した電子的な方法か)をどう行うかの3つを確かめます(2026年9月28日時点で確認した厚生労働省・個人情報保護委員会の資料による)。
訪問看護の書類のどこにAIが使われているか
AIが使われているのは、訪問ごとに書く記録書Ⅱと、そこから作る計画書・報告書です。医療保険の訪問看護では、「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日保医発0327第10号。令和8年6月1日から適用)が次の書類を決めています。当サイトの掲載DBで、AI・音声での作成を公式情報に書いている製品を並べると次のとおりです。
| 書類 | 通知で書くと決まっていること | AI・音声との関わり(掲載DBの公式情報) |
|---|---|---|
| 訪問看護記録書Ⅰ | 初回訪問年月日、主たる傷病名、現病歴、既往歴、療養状況、介護状況、緊急時の連絡先など | AIでの作成を明記した製品は掲載DBでは確認できない |
| 訪問看護記録書Ⅱ | 訪問年月日、訪問時間(実際の開始・終了時刻)、訪問職種、病状・バイタルサイン、実施した看護・リハビリテーションの内容等 | 訪問看護マナ(話した内容から記録書Ⅱを作成)、Mintime(生成AIが記録書の作成を支援。記録書Ⅰ・Ⅱのどちらかは掲載DBの情報では分からない)、ミルモレコーダー(会話を訪問看護記録などの様式に要約) |
| 訪問看護計画書(別紙様式1・3) | 看護・リハビリテーションの目標、療養上の課題・支援内容、評価など | 訪問看護マナ(話した内容から計画書を作成) |
| 訪問看護報告書(別紙様式2・4) | 訪問日、病状の経過、看護・リハビリテーションの内容、家庭での介護の状況、特記すべき事項など | Mintime(生成AIが報告書の作成を支援)、訪問看護マナ(話した内容から報告書を作成) |
| 訪問看護の情報提供書(保発0305第19号の別紙様式1〜4) | 市町村等・指定特定相談支援事業者等・学校等・主治医へ、訪問看護情報提供療養費の算定にあたり提供する文書 | AIでの作成を明記した製品は掲載DBでは確認できない |
音声入力そのものでは、訪問看護ステーション管理システムSPが音声入力ソフトAmiVoiceとの接続を公式情報に載せています。訪問看護マナはカイポケと連携して使うアプリで、作った書類をカイポケへ転記するところまでをスマートフォンで行うとしています。ミルモレコーダーは、オプションで要約した記録を介護ソフトへ自動転記できるとしています。
音声入力・文字起こし・要約・下書きといった方式ごとの向き不向きは介護記録の音声入力・AIの記事、各書類の欄の書き方は訪問看護計画書・報告書の様式と記載要領にまとめています。
AIの下書きから主治医への提出まで:人が決める場面
AIが下書きを作っても、書類を作り、確かめ、主治医に出す責任は事業所の人にあります。通知とガイドラインで、人が行うと決まっている場面は次の4つです。
- 作成: 計画書・報告書は、看護師等(准看護師を除く)が利用者ごとに作る(保発0305第20号)。理学療法士等が訪問している利用者は、看護職員(准看護師を除く)と理学療法士等が連携して作る
- 確定: 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版(システム運用編)は、代行入力された記録について、できるだけ速やかに確定者が「確定操作(承認)」を行い、その際「内容の確認を行わずに確定操作を行ってはならない」としている。記録には入力者と確定者の識別情報と作成日時を含める
- 管理者の管理: 管理者は計画書に沿った実施状況を把握し、計画書・報告書に関して助言、指導等必要な管理を行う(保発0305第20号)
- 訂正: 記録の訂正は、訂正した者、内容、日時等が分かるように行い、字句などを不当に変更する改ざんはしない(保発0305第20号)
- AIが下書き話した内容・メモから
- 確認する
- 看護師等が確定准看護師を除く
- 管理
- 管理者助言・指導等の管理
- 提出
- 主治医書面又は電子的な方法
ガイドラインは、確定操作には「文書の責任者が誰かを明らかにする」意味と、「記載に対して責任を持つ」意味があると説明しています(Q&A・Q40)。AIの下書きを誰の名前で確定するのか、確定者が不在のときに誰が確定するのかを、運用管理規程に決めておくことになります。一定時間が過ぎると自動で確定する運用なら、入力者と確定者を特定するルールを運用管理規程に定めるよう求めています。
導入前に確かめる1:AIに利用者の情報を入れてよいか
生成AIに利用者の情報を入れるなら、入力したデータがAIの学習などに使われないことを契約で確かめます。訪問看護の記録に書かれる病歴や病状は、個人情報保護委員会・厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)で要配慮個人情報(取り扱いに特に配慮が要る個人情報)の例に挙げられています。このガイダンスは、訪問看護ステーションを対象の「医療機関等」に含めています。
| 資料 | 生成AI・外部の事業者について書かれていること |
|---|---|
| 個人情報保護委員会の注意喚起(令和5年6月2日) | 個人情報を含むプロンプト(AIへの入力・指示)は利用目的の達成に必要な範囲内か十分に確認する。本人の同意なく個人データを入力し、応答の出力以外の目的で扱われると法律違反の可能性があるため、提供事業者がそのデータを機械学習に利用しないこと等を十分に確認する |
| 医療情報システムの安全管理に関するガイドラインQ&A(令和8年9月)Q18 | 医療情報をプロンプトに入れる場合、入力情報が「AIの学習等のために保存されないこと」が契約等で担保されていれば、生成AIサービスのサーバが国内法の適用を受けていることは必須ではない |
| 同ガイドライン第7.0版(企画管理編)7章 遵守事項⑤ | 外部の事業者との契約で医療情報を外部保存する場合、保存された情報を格納する情報機器等が国内法の適用及び執行の及ぶ範囲にあることを確実にする |
| 医療・介護関係事業者ガイダンス | 個人データの取扱いを委託するときは、安全管理措置の内容を契約に盛り込み、業務が適切に行われていることを定期的に確認する |
Q18は、医療情報が保存されないことが契約等で担保されている場合の話です。AIの下書きや音声を製品側で保存する作りなら、保存先について企画管理編7章の遵守事項⑤の確認が要ります。医療情報システムの安全管理に関するガイドラインは、対象とする「医療機関等」に訪問看護ステーションを含めています(概説編)。提供元に確かめることは次のとおりです。
- 入力した音声・文字・下書きを、AIの学習等に使わないこと、保存しないこと(保存するならどこに)が契約や利用規約に書かれているか
- 音声認識や生成AIの部分を別の会社が提供している場合、その会社でのデータの扱い
- 契約が終わったとき、データを消すか・書き出せるか
委託先の監督、再委託、クラウドの提供元に出してもらう資料(サービス仕様適合開示書など)の詳しい確かめ方は、介護記録の音声入力・AIの記事と訪問看護の電子カルテ・訪問看護ソフトの選び方で扱っています。
導入前に確かめる2:確定と修正の記録が残るか
AIの下書きを使うなら、誰が下書きを確かめて確定したか、確定後に誰が何を直したかが記録に残る作りかを確かめます。ガイドライン第7.0版(システム運用編)は、電子カルテシステムで記録を作るときに次の機能があることを確認するか、記録の確定手順等を確立するよう求めています。
- 確定した情報に、入力者と確定者の氏名等の識別情報、信頼できる時刻源を用いた作成日時が入る
- 確定の前に内容を十分に確認できる
- 確定できるのは、確定の権限を持つ利用者に限られる
- 確定した記録を更新したときは更新履歴が残り、更新前と更新後を照らし合わせられる
- 代行入力が行われたときは、誰の代行がいつ誰によって行われたかが記録される
AIが作った文をそのまま確定できる画面か、確定の前に下書きと元の音声・メモを見比べられる画面かも、デモで見ておくと確認の手間が分かります。記録を電磁的記録で保存するときに努める3つの措置(出力して表示・書面作成できる、改変・消去の有無を確かめられる、復元できる)は、保発0305第20号に書かれています。
- 使う書類を決める記録書Ⅱ・計画書・報告書など
- 入力データの扱いを確かめる学習に使わない・保存先
- 確定する人を決める不在時の代行も運用管理規程に
- 修正の履歴を確かめる誰が・いつ・何を直したか
- 主治医への出し方を決める書面か電子署名つきの電子か
導入前に確かめる3:主治医への提出をどうするか
AIで作った計画書・報告書も、主治医への出し方は通常と同じです。保発0305第20号は、計画書・報告書を定期的に「書面又は電子的な方法により」主治医に提出するとしています。電子的な方法で出すときは、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを守り、安全な通信環境を確保したうえで、保健医療福祉分野PKI認証局の電子証明書による電子署名、認定認証事業者・認証事業者の電子証明書による電子署名、公的個人認証サービスによる電子署名等を施します。
製品を選ぶときは、AIで作った報告書に電子署名を施して送れるか、印刷して書面で出す形になるかを確かめます。介護保険の訪問看護で認められる電子署名の書き方は医療保険と違うため、訪問看護計画書・報告書の記事の電子署名の見出しで医療保険・介護保険を分けて確認してください。
AIの活用は加算の要件にも入っているか
AIの活用は、医療保険の24時間対応体制加算の要件の一部に例として挙がっています。「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保発0305第19号)は、24時間対応体制加算のうち「24時間対応体制における看護業務の負担軽減の取組」を行っている場合を、次のア〜カのうちア又はイを含む2項目以上を行っている場合としています。
| 項目 | 取組 |
|---|---|
| ア | 夜間対応した翌日の勤務間隔の確保 |
| イ | 夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで |
| ウ | 夜間対応後の暦日の休日確保 |
| エ | 夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫 |
| オ | ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減 |
| カ | 電話等による連絡及び相談を担当する者に対する支援体制の確保 |
オについて通知は、看護記録の音声入力、利用者の自宅等での電子カルテの入力、医療情報連携ネットワーク等のICTを用いた関係機関との情報共有、ICTやAIを活用した業務管理や職員間の情報共有等であって業務負担軽減に資するものを例に挙げ、「単に電子カルテを用いていること等は該当しない」としています。オだけでは要件を満たさず、ア又はイを含む2項目以上が要ります。届出や算定の細かな扱いは、地方厚生(支)局の案内で確認してください。
訪問看護でAI・音声の記録に対応するソフト
AIや音声で記録を作る方法には、訪問看護ソフトの機能として使う形と、音声記録のアプリを今のソフトと組み合わせる形があります。当サイトに掲載している訪問看護ソフトを編集部スコア順に並べると次のとおりです。
音声で記録を作るアプリは音声入力・AI記録にまとめています。訪問看護の様式に対応するかは、製品ごとに公式情報で確かめてください。
訪問看護ステーション向けのツールは訪問看護の立場別ページにまとめています。
よくある質問
AIが作った訪問看護報告書を、そのまま主治医に出してよいですか?
通知は、計画書・報告書を看護師等(准看護師を除く)が作るとしています。医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版は、代行入力された記録を内容の確認なしに確定してはならないとしています。AIの下書きは看護師等が内容を確かめて確定し、管理者の助言・指導等の管理を経て提出する流れを、事業所の運用管理規程に決めておくことになります。
准看護師がAIで記録書Ⅱを作ってもよいですか?
記録書Ⅱは訪問ごとに書く記録で、記載要領は訪問職種を記入するとしています。計画書・報告書は看護師等(准看護師を除く)が作ると決まっていますが、この記事で確認した通知には、AIの利用そのものについての定めは見当たりません。入力者と確定者を記録に残す作りにし、誰が確定するかを運用管理規程で決めてください。
無料の生成AIサービスに利用者の記録を貼り付けてもよいですか?
個人情報保護委員会は、個人データを含む入力をする場合、提供事業者がそのデータを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう注意喚起しています。医療情報システムの安全管理に関するガイドラインのQ&Aも、入力情報がAIの学習等のために保存されないことが契約等で担保されているかを前提にしています。利用規約や契約でこの点を確かめられないサービスに、利用者の記録を入れるのは避けてください。
音声入力やAIを使えば24時間対応体制加算の要件を満たせますか?
満たせるとは限りません。保発0305第19号は「ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減」を負担軽減の取組の1項目としていますが、要件はア(勤務間隔の確保)又はイ(連続回数2回まで)を含む2項目以上です。単に電子カルテを使っているだけでは該当しないとされています。
出典
- 厚生労働省保険局医療課長「訪問看護計画書等の記載要領等について」(令和8年3月27日保医発0327第10号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001681763.pdf - 厚生労働省保険局長「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」(令和8年3月5日保発0305第20号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001666806.pdf - 厚生労働省保険局長「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保発0305第19号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686845.pdf - 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html - 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(概説編)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001716290.pdf - 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(企画管理編)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001716292.pdf - 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(システム運用編)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001716295.pdf - 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドラインQ&A」(令和8年9月)
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001752355.pdf - 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ - 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf - 個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(令和8年4月一部改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/001470633.pdf
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