訪問介護の2時間ルール|合算の考え方・例外(緊急時・頻回の訪問・看取り期)と障害の居宅介護との違い【2026年】

要点
訪問介護の2時間ルールとは、前回提供した訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で次の訪問介護を行ったとき、それぞれの所要時間を合算して1回の訪問介護として算定する決まりです(厚生労働省の留意事項通知「老企第36号」)。1回の長い訪問を複数回に分けて、短い時間区分の高い単位数を重ねて算定しないためのものです。緊急時訪問介護加算の対象の訪問、医師が回復の見込みがないと診断した利用者への訪問、頻回の訪問の要件を満たす20分未満の身体介護は合算しません。2026年10月時点の身体介護の単位数は20分未満163単位・20分以上30分未満244単位・30分以上1時間未満387単位(令和6年度改定の値)で、令和8年度の期中改定で訪問介護について改正されたのは処遇改善加算の率と区分です。
2時間ルールの中身:おおむね2時間未満なら所要時間を合算する
おおむね2時間未満の間隔で行った訪問介護は、それぞれの所要時間を足し、その合計がどの時間区分に当たるかで1回分として算定します。老企第36号の訪問介護の所要時間の項(第二の2の⑷)は、訪問介護は在宅の要介護者の生活パターンに合わせて提供するもので、単に1回の長時間の訪問介護を複数回に区分して行うことは適切ではないとして、この扱いを定めています。
所要時間の数え方の前提は次のとおりです(報酬告示・老企第36号)。
- 計画の時間で数える: 所要時間は、実際に行った時間ではなく、訪問介護計画に位置付けた内容の訪問介護を行うのに要する標準的な時間です(報酬告示 訪問介護費の注1)
- 交代しても1回: 1人の利用者に複数の訪問介護員等が交代して訪問介護を行った場合も、1回の訪問介護として合計の所要時間で算定し、訪問介護員等ごとに複数回として算定することはできません
- 生活援助の20分未満: 生活援助中心型の所要時間が20分未満の訪問は訪問介護費の算定対象になりません。ただし、複数回の訪問を一連のサービス行為とみなせる場合に限り、所要時間を合計して1回として算定できます。通知の例は、午前に診察券を窓口に出し(20分未満)、昼に通院介助を行い、午後に薬を受け取りに行く(20分未満)場合で、一連の通院介助として所要時間を合計します
身体介護中心型の単位数は次のとおりです。合算すると、短い区分を2回算定するより単位数が少なくなることがあります。
| 区分 | 所要時間 | 単位数(報酬告示) |
|---|---|---|
| 身体介護中心型 | 20分未満 | 163単位 |
| 身体介護中心型 | 20分以上30分未満 | 244単位 |
| 身体介護中心型 | 30分以上1時間未満 | 387単位 |
| 身体介護中心型 | 1時間以上 | 567単位に、1時間から30分を増すごとに82単位を加算 |
| 生活援助中心型 | 20分以上45分未満 | 179単位 |
| 生活援助中心型 | 45分以上 | 220単位 |
| 身体介護に続く生活援助 | 20分以上 | 身体介護の単位数に、20分から25分を増すごとに65単位(195単位まで)を加算 |
地域区分の単価や、特定事業所加算・早朝夜間深夜の加算などは別に掛かります。
- 25分+55分2時間未満の間隔で行った2回の身体介護計画上の所要時間
- 80分合算した所要時間「1時間以上」の区分に当たる
- 567単位合算して1回で算定1時間から30分は増していない
- 631単位別々に算定した場合の合計244単位+387単位。2時間未満ならこの算定はしない
合算しない例外:緊急時・看取り期・頻回の訪問
老企第36号は、2時間未満の間隔でも合算しない場合として、次の3つを挙げています(令和3年度改定で看取り期の利用者が加わりました)。
| 例外 | 内容(老企第36号・報酬告示) |
|---|---|
| 緊急時訪問介護加算の対象の訪問 | 利用者や家族の要請を受け、サービス提供責任者がケアマネジャーと連携し、ケアマネジャーが必要と認めた場合に、ケアプランにない身体介護を緊急に行うもの(1回100単位を加算)。前後の訪問介護との間隔が2時間未満でも、それぞれの所要時間に応じた単位数を算定する |
| 回復の見込みがない利用者への訪問 | 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した人に訪問介護を提供する場合 |
| 頻回の訪問(20分未満の身体介護) | 要件を満たす利用者・事業所で、20分未満の身体介護中心型を前回から2時間未満の間隔で提供する場合。所要時間を合算せず、それぞれの所定単位数を算定する |
- 前回の訪問介護との間隔を見るおおむね2時間以上空いていれば、それぞれ算定する
- 緊急時訪問介護加算の対象か対象なら合算しない
- 医師が回復の見込みがないと診断した利用者か該当すれば合算しない
- 頻回の訪問の要件を満たす20分未満の身体介護か満たせば合算しない
- どれにも当たらなければ合算する合計の所要時間の区分で1回として算定する
複数の事業所が同じ利用者に訪問介護を行う場合の2時間の間隔の扱いについて、老企第36号の所要時間の項には定めが書かれていません。迷うときは、指定を受けた都道府県・市町村に確認してください。
20分未満の身体介護と「頻回の訪問」の要件
20分未満の身体介護中心型(163単位)は算定できますが、前回の訪問介護から2時間の間隔を空けずに提供する「頻回の訪問」として合算せずに算定できるのは、次のすべてに当たる場合だけです(老企第36号 第二の2の⑸①。平成27年度改定で定められ、令和3年度・令和6年度・令和8年度の改正ではこの部分は「略」で変わっていません)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 利用者 | 要介護1・2で、認知症高齢者の日常生活自立度がⅡ・Ⅲ・Ⅳ・Mの人か、要介護3〜5で、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)がランクB以上の人 |
| サービス担当者会議 | ケアマネジャーが開くサービス担当者会議で、1週間のうち5日以上、頻回の訪問を含む20分未満の身体介護が必要と判断されていること。会議は提供日の属する月の前3月の間に1度以上開かれ、サービス提供責任者が参加していること |
| 連絡体制 | 24時間体制で、利用者や家族等からの電話等による連絡に常時対応できること |
| 定期巡回との関係 | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と一体的に運営しているか、その指定を併せて受ける計画を策定していること(要介護1・2の利用者への提供は、一体的に運営している事業所に限る) |
| 届出 | 連絡体制と定期巡回との関係は届出が必要 |
頻回の訪問を含む20分未満の身体介護を算定した月は、その利用者の1月の訪問介護費が、定期巡回・随時対応型訪問介護看護費(訪問看護サービスを行わない場合)の要介護度ごとの単位数までに限られます(報酬告示 訪問介護費の注2)。頻回の訪問に当たることは、ケアプランに明確に位置付けておく必要があります(老企第36号)。
20分未満の身体介護のすぐ後に続けて生活援助を行っても、生活援助の加算(20分以上で65単位など)は算定できません(緊急時訪問介護加算を算定する場合を除く)。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の定期巡回サービスには、訪問ごとの間隔の制限はないとされています(平成24年度介護報酬改定に関するQ&A Vol.1 問133)。
令和8年度改定で変わったこと・変わっていないこと
令和8年度の期中改定(令和8年厚生労働省告示第87号)で訪問介護について改正されたのは、介護職員等処遇改善加算の率と区分です。訪問介護費の基本報酬(告示のイ〜ト)は「略」で改正されておらず、老企第36号の第二の1〜3(訪問介護の項を含む)も「略」で改正されていません。2時間ルールと20分未満の身体介護の扱いは、令和6年度改定後のままです。
| 処遇改善加算の率(訪問介護) | Ⅰイ | Ⅰロ(新設) | Ⅱイ | Ⅱロ(新設) | Ⅲ | Ⅳ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 令和8年度改定後 | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% | 20.7% | 17.0% |
処遇改善加算は、基本報酬にほかの加算・減算を反映した単位数に率を掛けて算定します(告示では「イからトまでにより算定した単位数の1000分の270」など)。Ⅰロ・Ⅱロは、生産性向上や協働化に取り組む事業者への上乗せの区分です。
障害福祉の居宅介護の「2時間の間隔」との違い
障害福祉の居宅介護にも2時間の間隔の決まりがありますが、書き方と例外が違います。介護保険の訪問介護は「2時間未満なら合算する」、障害の居宅介護は「1日に複数回算定するときは概ね2時間以上空ける」と定めています。
| 介護保険の訪問介護 | 障害福祉の居宅介護 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 老企第36号 第二の2の⑷ | 障害福祉の留意事項通知(居宅介護の所要時間) |
| 決まりの書き方 | おおむね2時間未満の間隔なら、それぞれの所要時間を合算する | 1日に複数回算定するときは、概ね2時間以上の間隔を空ける |
| 緊急時 | 緊急時訪問介護加算の対象は合算しない | 緊急時対応加算の対象は、間隔が2時間未満でもそれぞれの所要時間で算定 |
| 短い間隔での訪問が必要な人 | 頻回の訪問の要件(利用者・サービス担当者会議・24時間連絡・定期巡回との関係・届出)を満たす20分未満の身体介護だけ | 身体の状況等で、短時間の間隔で短時間の訪問を複数回行わなければならない場合 |
| 看取り期 | 医師が回復の見込みがないと診断した人は合算しない | 通知に同じ定めはない |
| 別の事業者の訪問 | 所要時間の項に定めはない | 別の事業者の居宅介護との間隔が2時間未満の場合は、この決まりの対象外 |
| 別の類型を挟む | - | 身体介護30分・家事援助30分・身体介護と続けて高い単価を重ねるのは不適切で、前後の身体介護を1回として算定 |
| いちばん短い区分 | 身体介護20分未満 163単位 | 身体介護中心30分未満 256単位(所要時間は20分程度以上。夜間・深夜・早朝を除く) |
居宅介護では、2時間以上の間隔が空かなかった場合、サービス提供実績記録票に1行でサービス時間全体の開始・終了時間を書き、空き時間を備考欄に書きます(事務処理要領)。居宅介護・重度訪問介護の所要時間の数え方、1日の通算、実績記録票の書き方は居宅介護・重度訪問介護の請求の記事にまとめています。
介護ソフトで確かめること
2時間ルールは、訪問予定と実績の時刻から判定するので、介護ソフトで自動で見つけられるかどうかで請求前の確認の手間が変わります。
| 観点 | 確かめること |
|---|---|
| 間隔の検知 | 同じ利用者の訪問の間隔が2時間未満のとき、予定を組む段階と実績を入れる段階で知らせるか |
| 合算と区分 | 計画上の所要時間を合算し、合計の時間区分の単位数で算定できるか。生活援助の加算(25分ごと65単位)も正しく組み立てられるか |
| 例外の区別 | 緊急時訪問介護加算の対象、回復の見込みがない利用者、頻回の訪問の対象を区別して入力でき、その訪問を合算から外せるか |
| 頻回の訪問の上限 | 頻回の訪問を含む月に、定期巡回の単位数を上限として計算できるか |
| 記録 | 緊急時の要請の時刻・内容や、サービス担当者会議の記録を残せるか |
| 障害福祉との併用 | 障害福祉の居宅介護も行うなら、別の決まり(2時間以上空ける・実績記録票の書き方)で判定できるか |
判定の機能は製品で違うため、提供元に確かめてください。訪問介護で作る記録や、ヘルパーが訪問先で使う端末の比べ方は訪問介護の介護ソフトの記事で扱っています。訪問介護に対応した介護ソフトは、訪問介護ソフトの比較一覧で料金・無料で試せるか・対象サービスを比べられます。
訪問系の事業所向けのツールは訪問系のページに、ケアマネジャー向けのまとめはケアマネジャーのページに、すべての介護ソフトは介護ソフトのカテゴリにあります。比較表の「スコア」は公開情報がそろっているかの目安で、機能の優劣ではありません(採点方法)。
よくある質問
朝の訪問の1時間半後に、もう一度身体介護に入ったら2回算定できますか?
おおむね2時間未満の間隔なので、原則として2回の所要時間を合算し、合計の時間区分で1回として算定します。緊急時訪問介護加算の対象の訪問、医師が回復の見込みがないと診断した利用者への訪問、頻回の訪問の要件を満たす20分未満の身体介護であれば、合算しません(老企第36号)。
合算する所要時間は、実際にかかった時間ですか?
いいえ。訪問介護の所要時間は、実際に行った時間ではなく、訪問介護計画に位置付けた内容を行うのに要する標準的な時間で決めます(報酬告示・老企第36号)。
2人のヘルパーが交代で続けて入った場合はどうなりますか?
1人の利用者に複数の訪問介護員等が交代して訪問介護を行った場合も、1回の訪問介護として、その合計の所要時間に応じた単位数を算定します。訪問介護員等ごとに複数回として算定することはできません(老企第36号)。
障害の居宅介護と介護保険の訪問介護で、2時間の決まりは同じですか?
同じではありません。介護保険の訪問介護は「おおむね2時間未満なら合算する」、障害の居宅介護は「1日に複数回算定するときは概ね2時間以上空ける」と定め、例外も違います。障害の居宅介護では、別の事業者の居宅介護との間隔が2時間未満の場合は対象外とされています。
出典
- 厚生労働省 法令等データベース「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第19号)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa0253&dataType=0&pageNo=1 - 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第36号)令和3年度改定の新旧対照表
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000772367.pdf - 鳥取県掲載「老企第36号」平成27年度改定の新旧対照表
https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/996072/rouki36.pdf - 厚生労働省「老企第36号」令和6年度改定の新旧対照表
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001227887.pdf - 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和6年厚生労働省告示第86号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001227814.pdf - 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html - 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」(令和8年厚生労働省告示第87号)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675895.pdf - 厚生労働省「老企第36号」令和8年度改定の新旧対照表
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001682729.pdf - 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf - 厚生労働省「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」(平成24年3月16日)
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/housyu/dl/qa01b.pdf - 厚生労働省「指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(令和8年度改定後)
https://www.mhlw.go.jp/content/001705650.pdf - 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(最終改正 令和8年7月)
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001721666.pdf
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