介護保険請求の返戻とは|保留・過誤との違い、主なエラーコードと再請求の手順【2026年】

要点
介護保険請求の返戻とは、事業所が国保連(国民健康保険団体連合会)に出した介護給付費請求明細書や給付管理票を国保連が審査し、記入漏れ・計算誤り・受給者台帳や事業所台帳との不一致などでエラーになったものを、事業所に戻すことです。返戻になった分は審査が確定しないので、原因を直して翌月以降に再請求します。給付管理票がまだ出ていないために審査できない請求は「保留」になり、宮城県国保連の資料では通常2か月間保留され、その間に給付管理票が出なければ返戻になります。すでに審査・支払いが済んだ請求の誤りを直すときは、返戻ではなく保険者(市町村)を通じた「過誤」の申立てで取り下げてから再請求します(2026年10月24日時点)。
返戻
審査でエラー
- 国保連が請求明細書・給付管理票を事業所に戻す
- 過誤の申立ては要らない
- 原因を直して再請求する
保留
給付管理票待ち
- 請求明細書に対応する給付管理票が出ていない
- 保留期間中に給付管理票が出れば審査される
- 期間内に出なければ返戻になる
過誤
支払い済みの取下げ
- 審査・支払いが済んだ請求の誤り
- 保険者に過誤の申立てをして取り下げる
- 通常過誤と同月過誤がある
返戻とは:国保連の審査でエラーになった請求
国保連は、事業所から請求のあった介護給付費請求明細書と給付管理票をチェックし、エラーになったものを「返戻」または「保留」とし、「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」で事業所に通知します。宮城県国保連の資料では、主なチェックは次の5つです。
- 必要箇所への入力(記入)漏れ、入力(記入)誤りがあるもの
- 請求明細書等の請求額等に計算誤りがあるもの
- 被保険者の資格に関する情報(受給者台帳)、事業所の届出情報(事業所台帳)等と突合して一致しなかったもの
- 請求明細書や給付管理票を重複して請求したものや、登録されていない給付管理票に対して「修正」の給付管理票が出されたもの
- その他、審査チェックでエラーとなったもの
守口市の資料は、返戻を「介護事業所の請求した内容と保険者の送付した受給者台帳に相違がある場合に発生する」と説明し、事業所は毎月10日までに国保連に請求し、保険者は毎月初めに受給者台帳を国保連に送るとしています。返戻の原因はさまざまで、原因が分からないときは保険者や国保連に問い合わせるよう案内しています。
返戻(保留)一覧表の見方
一覧表には、被保険者氏名、種別、サービス提供年月、サービス種類、サービス項目等、単位数、事由、内容、備考が並びます。種別は「請」が請求明細書(サービス計画費を除く)、「サ」がサービス計画費(ケアプラン料)、「給」が給付管理票、「ケ」が介護予防ケアマネジメント費請求明細書(総合事業の場合に限る)です。備考の欄には、返戻の内容を示す介護保険審査チェックエラーコード(4文字のコード)か「返戻」の文字が表示され、保留のときは「保留」と表示されます。
主なエラーコードと原因
宮城県国保連の資料に、問い合わせの多い事例として載っている返戻のエラーコードです。資料の内容と対応は宮城県の例なので、所在地の国保連の案内も確かめてください。
| エラーコード | 種別 | 内容 | 主な原因と対応 |
|---|---|---|---|
| 12P4・12P5 | 給 | 対象年月・証記載保険者番号・支援事業所番号:市町村の認定情報と不一致 | 居宅介護支援事業所が、その利用者の居宅支援事業所として該当月以前に保険者へ届出をしているかを確かめる。届出済みでエラーになるときは保険者へ照会する |
| 12PA | 請 | 証記載保険者番号・被保険者番号:市町村の認定変更が未決定 | 要介護認定の変更申請中(更新申請中)の受給者に請求した。変更申請が確定し、受給者情報に登録されたことを確認のうえ再請求する。申請の受付から確定まで約30日かかる |
| 12PD | 給 | 対象年月・証記載保険者番号・被保険者番号:認定有効期間外の被保険者 | 認定の有効期間が切れた後のサービス分なら、請求できない分を請求していたことになり、再提出はできない |
| ANN9 | 給 | 様式番号:給付管理票の作成区分新規での提出が必要 | 「修正」として出した給付管理票の、修正の対象になる給付管理票が登録されていない。保険者番号・被保険者番号・サービス年月に誤りが無ければ「新規」として再提出する |
| ANNJ | 給 | 様式番号:過去に同じ給付管理票(新規)を提出済 | 当月の審査分と過去の審査で決定した分の重複(「ANN0」は当月審査分の中の重複)。すでに登録済みなら再提出は不要。修正すべきものなら「修正」で出す。他人の番号の誤りなら正しい番号で「新規」で出す |
| 12SA・ASSA | 請 | 保険給付率:市町村認定の給付率と相違(ASSAは保険請求額:記載された値が計算値を超過) | 請求した給付率が正しいかを確かめて再請求する。給付率に誤りが無ければ、国保連に登録されている給付率と相違が無いか保険者へ照会する |
12PAの資料には、保険者が国保連に受給者情報を登録する期限(通常は前月末までの異動情報を当月の4日までに提出)と、事業者の請求の期限(毎月10日)にずれがあるため、事業者が当月の請求までに変更申請が確定(却下を含む)していることを確認して請求明細書を提出しても、エラーとなり返戻されることがあると書かれています。対応は、保険者で変更申請が確定し受給者情報に登録されたことを確認したうえで再請求することです。認定(変更)申請の翌月に請求した場合、新規の認定申請なら12P0(受給者台帳に該当する受給者情報が存在しません)、変更申請なら12PA(変更申請中の受給者です)のエラーで返戻になります。
保留とは:給付管理票が出ていない請求
保留は、利用者の請求明細書は提出されているのに、サービス提供月が同じ給付管理票が居宅介護支援事業所や地域包括支援センターから提出されていない場合、または給付管理票が返戻となっている場合に起きます。宮城県国保連では通常2か月間、請求情報を保留しています(この保留期間は各県の国保連で違います)。
- 保留期間中に給付管理票が提出されれば、その審査年月で保留になっていた請求明細書が審査されます。サービス事業所が請求明細書を再請求する必要はありません
- 保留期間内に給付管理票が提出されなければ、請求明細書は返戻になります。この場合は請求明細書を再請求する必要があります
- 宮城県の例では、5月審査分で保留になり給付管理票が出なかった場合、最初に保留となった翌々月の7月審査で返戻になります
保留になったサービス事業所は、該当する利用者の居宅介護支援事業所または地域包括支援センターに連絡し、給付管理票を国保連に提出してもらいます。給付管理票の作成者と期限は給付管理票の記事にまとめています。
返戻が届いてからの手順
- 一覧表を確かめる種別・エラーコード・備考を見る
- 原因を切り分ける入力誤りか、台帳との不一致か、給付管理票待ちか
- 保険者・支援事業所に照会する認定情報の不一致は保険者へ、保留は支援事業所へ
- 請求データを直す介護ソフトで該当の明細書を修正する
- 翌月以降に再請求する毎月10日までに国保連へ
返戻になった請求明細書は、過誤の申立ては要りません。板橋区の案内でも、返戻された介護給付費明細書については過誤申立の必要はなく、返戻事由を確認して国保連へ再請求するとされています。
過誤とは:支払い済みの請求を取り下げる
過誤は、国保連で審査が済み、すでに支払いを受けた介護報酬の誤りを直すための手続きです。守口市の資料では、過誤を「事業所が国保連合会から既に支払を受けた介護報酬の取消しを行う処理」と説明しています。事業所は保険者(市町村)に過誤調整依頼票(過誤申立書)を出し、保険者が取りまとめて国保連に送り、取り下げが済んでから事業所が正しい内容で再請求します。
| 種類 | 内容 | 守口市の提出期限(例) |
|---|---|---|
| 通常過誤 | 誤った請求の全額を取り下げ、国保連からの過誤決定通知の後に再請求する | 毎月10日(土日祝日の場合は前日。必着) |
| 同月過誤 | 取り下げと再請求を同時に審査し、差額を調整する。行政指導(監査)等で多額の返還金が発生したときや、過誤申立の件数が極端に多いときに支払額への影響を軽くできる | 毎月月末(土日祝日の場合は前日。必着) |
守口市の資料は、同月過誤を選んでも翌月の再請求が誤っていた場合は取り下げのみ(全額マイナス)になると注意しています。過誤の申立てには、保険者の案内に次のような制約があります。
- 審査中の明細書や、返戻・保留になった明細書は過誤申立ができない(江東区)。通常、過誤申立ができるのはサービス提供月の2か月後以降(江東区)
- 請求した月と同月に過誤申立はできない。審査が確定した請求だけが対象のため、請求月の翌月以降に行う(板橋区)
- 過誤申立は事業所・利用者・サービス提供年月の明細書単位で、個別の利用日や加算・減算など請求の一部だけの過誤はできない(板橋区)
- 過誤申立をした翌月に再請求して差額調整を行う。翌月に再請求しないと取り下げと同じ取扱いになり、いったん全額を国保連に返金する(板橋区)
- 提出先・様式・締切日は保険者ごとに違う。板橋区は月ごとの提出締切日を予定表で示し、令和8年7月から電子申請(LoGoフォーム)の受付を始めると案内している
返戻を減らすために介護ソフトで確かめること
宮城県国保連が問い合わせの多い事例として挙げる返戻は、認定情報・給付率・給付管理票の区分など、受給者台帳や登録済みの給付管理票との不一致です。請求の前に次を確かめると、翌月の返戻の手戻りを減らせます。
- 利用者の認定の有効期間、要介護度、給付率が、保険者の最新の認定情報と一致しているか
- 認定の変更申請中・更新申請中の利用者を、受給者台帳に登録される前に請求していないか
- 給付管理票が居宅介護支援事業所から国保連に出ているか
- 伝送前のソフトのチェック機能で、入力漏れ・計算誤りが出ていないか
国保連への伝送の仕組みは電子請求受付システムの記事にまとめています。介護ソフトの比較は介護ソフトのカテゴリ、事務・請求担当向けの記事は事務・請求担当向けのページ、管理者向けは管理者向けのページにまとめています。
よくある質問
返戻になった請求はいつ再請求できますか
原因を直して、翌月以降の請求(毎月10日まで)で再請求します。認定の変更申請中が原因の場合は、保険者で変更申請が確定し、受給者台帳に登録されたことを確かめてから再請求します。宮城県国保連の資料では、申請の受付から確定まで約30日かかります。
保留と返戻は何が違いますか
保留は、請求明細書に対応する給付管理票がまだ出ていないため、国保連が審査を待っている状態です。宮城県国保連では通常2か月間保留し、その間に給付管理票が出れば審査されるので再請求は要りません。期間内に出なければ返戻になり、再請求が必要になります。保留期間は国保連ごとに違います。
返戻された請求に過誤の申立ては必要ですか
必要ありません。過誤は、審査が済んで支払いを受けた請求を取り下げる手続きです。板橋区の案内でも、返戻された明細書は過誤申立の必要がなく、返戻事由を確かめて国保連へ再請求するとされています。
通常過誤と同月過誤はどちらを選べばよいですか
通常過誤は全額を取り下げて過誤決定通知の後に再請求し、同月過誤は取り下げと再請求を同時に審査して差額だけを調整します。守口市の資料では、行政指導(監査)等で多額の返還金が発生したときや過誤申立の件数が極端に多いときに同月過誤で支払額への影響を軽くできるとしつつ、どちらが良いかは市では判断できないとしています。提出期限や様式は保険者ごとに違うので、所在地の市町村の案内で確かめてください。
出典
- 宮城県国民健康保険団体連合会「「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」が届いたら」
https://www.miyagi-kokuho.or.jp/kaigo/documents/yokuaruhenrei.pdf - 守口市「「過誤の申立て」や「国保連からの返戻」について」
https://www.city.moriguchi.osaka.jp/material/files/group/78/kagohenreinituite.pdf - 板橋区「介護保険過誤申立(取下げ)の取扱いについて」
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/kenko/kaigo/1003726/1003730.html - 江東区「【事業所の方へ】介護保険過誤申立(取下げ)の手続きについて」
https://www.city.koto.lg.jp/212105/fukushi/kaigohoken/kyufu/79942.html
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